ゆきのひ。 海賊 2010年02月02日 【わんぴ】S*U 雪が降った日。※現代パロディ?特に設定なし。 x x x「あ!」改札を出た瞬間、ウソップが急に声をあげ駈け出した。「雪だー!!」声に釣られて見上げたサンジの目にも、その白いひとひらが映る。「あー…そういや、降るって言ってたっけか」朝見た天気予報を思い出す。夕方から夜にかけてずらっと並んだ雪だるまのマーク。「サンジ、雪だ!雪だぞー!」「ああ、見えてるって」「何だよー!テンション低いな!雪だってのに!」「おれは寒いの苦手なんだよ」「三月生まれなのに?」「馬鹿野郎、三月は春だ」サンジはウソップを睨みつけたが、ウソップはにっと笑っただけだった。「結構降ってんなー。積もるかな?」「さァな。すぐに雨になっちまうんじゃねェの」「雪は夜更け過ぎに~ってか!」「逆だろ」「積もるといいなー」サンジのツッコミも耳に入らないように、ウソップはまたうっとりと空を見上げる。「おれさー」「ん?」「今年は絶対ェ、クリスマスケーキのバイトするわ」「何でだよ」「いや、雪見てたら何となく」「長鼻のトナカイか?」「どうせならサンタ着てェなー」「じゃあ、余ったの持って帰って来いよ」「ばっかだなー、おれが売り残すと思うか?」と、ウソップはサンジを振り返って胸を張って見せた。「おれはケーキを全部売り切って、サンジに作ってもらうんだ」「売り切れたらな」「あー!何だよその顔!絶対ェ売り切って見せるし!!」約束だからな!とウソップは、無理やりサンジの手を取って小指を絡める。意味のない会話から生まれたその約束を、ウソップは一年も先まで覚えているのだろうか?厚ぼったいウールの手袋ごしの指きり。「あー、でも寒ィ」「手袋は貸してやらねェぞ」「要らねェもん!修行だ修行」素手の両手を振り上げ、がー!とウソップが吠えた。「あ、おい、傘は」「んなもん要らねェ!修行だー!目指せゾロ!!」「おい、ウソップ!」全速力で走って行く背に手を伸ばすが、もちろん届かない。「ったく…」だが、あの速度で走って行けば、次の角くらいで力尽きてバテているのに追いつけるだろう。サンジは、もう一度空を見上げた。ちらちらと降り注ぐ白。「積もるかなァ…」積もれば、交通は麻痺するし転んでけがする人も現れるだろう、とは思うものの。(「積もるかなー」…)さっき、うっとりと空を見上げたその顔が、きっと笑顔になると思うから。「…修行…ねェ…」鞄から取り出しかけた折りたたみ傘を、少し躊躇してからしまうことにした。マリモの名に少々対抗心が煽られた、とは、認めたくないが事実だ。「…待ちやがれ、ウソップ!」雪の中に飛び出せば、革靴が滑りそうだった。でも、なんだかとてもすがすがしくて。最初の、彼の笑顔の意味が少しわかったような気がした。----やまなしおちなしいみなし。ほんとは、ばんぷのすのーすまいるみたいな展開にしたかった。まったく関係のない、意味のない話となりました!うーん、さすが30分クォリティ。この二人でだらだら会話させるのが好き。限りなく友情に近い…というかむしろ友情でいいや! PR