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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

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さんがつ ここのか

【わんぴ】S*U、U視点。 れみおいんすぱいや。
ただし全く効果的には使えていないし歌詞も出てきません。


―瞳を閉じれば、あなたが瞼の裏にいることで、どれほど強くなれたでしょう。
 あなたにとって私も、そうでありたい。




x x x x x

仮面の下の視界から見える景色は狭く、少し暗く色づいていた。
あの景色を見ている自分は、きっと自分ではない誰か別の人間だった。
体は同じ人間だったとしても、その景色を認識している自分は全く別の人間だったのだ。
『英雄』という名の。




「何やってんだよ」
「うおー!?…ぉお、お前か」
急に手元を覗きこまれて驚いた。慌ててテーブルの上のモノに覆いかぶさるようにして隠し、見上げる。
陰った視界の上にあったのは金色の頭、それから青味がかった片方だけの瞳。先の巻いた眉。
不機嫌そうな顔に、片手には空になったグラスの乗ったお盆。
「今日のおやつ?」
一応指さして聞いてみると、鼻を鳴らされた。
「レディ用だ」
まあ、既に空になっている時点でおれのじゃないっていうのはわかってたけど。
「おれ用は?」
「あると思うか?」
「期待はしてるんだけど」
「ねェよ、馬鹿」
「知ってる」
テンポのいい会話。
何だか楽しくなって、おれは喉の奥でククッと笑った。
「何でそこで笑うよ」
はたかれた。
戦いに手を使わないと豪語する奴にしては珍しいこともあるもんだと思ったが、どうやら手ではなくて盆で叩いたのでオッケーらしい。
「…で、何やってんだよ」
話が戻ってきてしまった。
せっかくそらしたのに。
「いや、ちょっと色々」
おれは、それの上に這いつくばったままサンジから目をそらす。
やっぱり、キッチンでやるべきじゃなかった。
工場でやろうとも思ったのだが、おれが工場にいればルフィやチョッパーが絶対邪魔しにくるし、フランキーが様子を見に来ることもあるし。
支部はもっとだめだ。甲板なんて、人通りが多すぎる。
だからこのおやつの時間、あるじがレディに首ったけでいないキッチンなら、と思ったのだが。
すこし、長くいすぎてしまったようだ。
「色々ってなんだよ」
「や、それはもー、一言で表せないような色々が」
「そこを無理やり一言でおさめると?」
「Xだな、未知を表すエックス」
「エックスって。そりゃ格好良すぎだろ」
そこまで言ったところでサンジは、タバコを咥えて火をつけた。マッチをする、シュッという音。
「…ま、何でもいいんだけどな」
軽く振って、マッチの火を消す。煙を吐き出す。
「そ、そうそう、おれのことはいいからホラ、グラスでも何でも洗ってなさい」
「少なくても、ルフィとチョッパーには見られんじゃねェぞ」
「ぎゃん」
おれは踏まれた犬のような声をあげて突っ伏した。
ああ、見られてしまっていた。
見られてしまっていた。
今度はサンジが喉の奥で笑いながら、ダイニングの方へ歩いて行ってしまった。
すぐに水道のひねられる音。どうやら、本当に食器洗いにかかるらしい。
「…」
体を起して、そこに隠していたものを見る。
木でできた仮面、それから真っ赤なマント。
仮面は、横の飾りが折れてしまっている。
この仮面の持ち主が勇敢に戦った証だ!と胸を張りたいところだが、この英雄譚をおれが話せる相手はいない。
たとえ、この仮面の持ち主を誰だか予想がついている相手がいたとしても、だ。
その仮面と折れた飾りを両手に持ち、おれは目を細めてそれを見た。
細めた視界は、あの視界に少し似ている。
少しぼやけて色のついた狭い視界。
おれの視界とは全然違う視界だ。
「…そげキング、おれは…」
その名は、勇気の象徴のようなものだ。おれにとっては。
指先でそのなめらかな表面を、撫でた。
そんな、感傷に浸っているおれの頭に、
「あいて」
何かがぶつかったので―決して痛くはなかったけれど―、おれはそれが飛んできた方向をにらみつける。
「何すんだよー」
落ちたものは何かと下に向けた視界で探すと、ラップの芯が落ちていた。
どうせサンジにとってはゴミだろうから、ありがたくおれが頂いてリサイクル、素ン晴らしい道具でも開発してやろう。
拾い上げようと体をかがめたおれに、サンジの声が掛けられた。
「テメェな、ここにいねェ奴の名前呼んで感傷にひたってんじゃねェよ」
「ここにいねェって。そげキングじゃねェか」
しかし、サンジは不機嫌そうに鼻を鳴らしてカウンターに肘をつく。
「どうせならいる奴の名でも呼んでみろ」
「いる奴の名ってなァ…。ゾロ~、とでも言えばいいのかよ」
「何でマリモだよ」
もっと不機嫌になった。
「マリモよりァそげキングのがマシだ。そげキングにしとけ」
「何が言いたいんだよ、お前」
ひらひらと手を振って、サンジはまた背を向けてしまった。
「…ったく、何だってんだよ」
いる奴を呼べっていったくせに、ゾロよりはここにいないそげキングの方がマシらしい。
「じゃあ、サンジーとでも呼べばよかったのかよ」
―それにしとけ。
驚いて視線を上げたおれの視界には、相変わらず背を向けたサンジがいた。
「お、おい、今何か言った?」
同じ音量で問いかけても、水道を使っているサンジに聞こえるはずはなく、サンジが振りかえることはなかった。
でも。
だけど。
「…しょーがねェなァ」
それは、コトバとしておれにちゃんと届いたから。
「今度からはちゃんと、サンジを呼ぶことにする」
背中を向けた金色の頭が、満足そうにかしげられた。




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瞼の裏のそげキング。
あとサンジ。(←おまけ
「3月9日」はウソカヤでもよかったかなー。でもまあいいか。

そげにヤキモチ焼くサンジとか。
というか、私の書くサンジはあんまりウソップを名前で呼んでくれません。
ということに今気付いた。
もっと呼んでやらなきゃ!

さんがつここのかだったので、
歌詞っぽいのがどーしても一本書きたくて。
フラ誕はそのうち…書けたら…
っていうか、サン誕ももう一本書きたいのよ。オールキャラで。
それでウソ誕につなげたいのよ。
一カ月かかる三部作!

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