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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

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バントライン(仮称)・2

【わんぴ】サンウソ

・一味離散後捏造話
・サンジとウソップとクロネコ海賊団の皆様しか出てきません
・っていうかウソもまだいません。

 [前]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/111/




x x x x x

そういえば、とサンジは思い出す。
(結局、アイツに答えをやらなかったな…)
それはまだ、ウォーターセブンを出たばかりの頃だったと思う。かなり、前の話だ。
一味を一時抜け、そして潔く謝って帰ってきたアイツが、ある日サンジに言ったのだ。
―おれ、サンジのこと好きだなァ。
元々「好き」という言葉を良く使う相手であったから、サンジは最初、その言葉の意味を考えなかった。
―違ェよ、旬の魚が好きとか細けェ作業が好きとか、そういう『好き』じゃなくて。
サンジが好きなんだ、と。
―…お前な。おれがレディ好きだって知ってるだろ?
―うん、知ってる。
―だったら…
―でも言いたかったんだ。おれは、サンジが好きなんだ。
そう言って本当に嬉しそうに微笑んだアイツ。
―あ、返事は要らないからな!わかってるしっ!
そう言って片手を挙げ、キッチンから出て行ってしまった。全てを一方的に言うだけ言って。
本当に、返事も聞かずに。

「…チッ」
サンジは舌打ちをした。
「どうした?」
「いや、何でも」
それを聞きとめたニヤニヤ笑いの男が振り返ってくるが、サンジはそう答えるだけに留めておいた。
(ったく…)
何故急にそれを思い出したかといえば、多分この眼鏡男たちが『四人の麦わら一味』を知っているようだったからだろう。
つまり、彼らは自分よりも早く彼らに出会い、自分の知らない彼らを知っているのだから。
だから、眼鏡男たちの知らない『麦わらの一味』を思い出そうとしたのだ。
その中で何故その記憶が最初に出てきてしまったのかは分からないが、とにかく多分、そう言うことだろう、とサンジは自分に結論付ける。
(…まァ、それは置いておいても、だ)
サンジは、向こう側の壁にもたれて目を閉じている眼鏡男と、何かを考えているらしいニヤニヤ笑いの男を盗み見る。
彼らが『麦わらの一味』とどういう関係なのかも知らないし、これから来るという『彼らの仲間』とやらがサンジまでも助けてくれるとは信じられない。一人逃げるための準備を、しておいて損はないだろう。
目を閉じ、自分の体を伺う。
怪我は特にない。痛む所もだ。服も着ていたもののまま連れて来られたから問題はない。あるとすれば、履いている靴が見た目重視で買ったものだったから、戦闘になったら少し動きにくそうだという、それだけ。
あとは、やはり手錠か。
海楼石であることは能力者でないサンジにはまったく関係はないが、ダイヤよりも硬いというそれを蹴り砕くのは困難だし、それに非常に重い。
「…さて、どうしたもんかね…」
やはり、仲間とやらが来るのを待って手錠の鍵だけでも奪い、それから脱出の方法を考えるべきか。
(…にしても、全力の戦闘になることは確かだろうな…)
あの日、バラバラに飛ばされてから、なかなか全力で戦う機会には恵まれなかった。
いや、その言い方もおかしいか。別に、サンジは戦うのが好きなわけでもないし。
しかしとにかく、ここの所全力で走ったり戦ったりということをしてこなかったし、多少運動不足であることは否めない。
(…動けるか?)
静かに呼吸し、冷えた体の全身まで気を回す。
すぐに全力では動けそうもなかったが、それでも思ったよりはすぐに、戦う準備の整った体になる。
あとは、タイミングと流れを見るだけ。
「…そろそろだ」
眼鏡の男が腕時計を見ることなく呟き、それとほぼ同時に、どこか遠くで爆発音が聞こえた。

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