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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

僕らの記念日

【わんぴ】S*U ウソ誕!
嘘つきの誕生日、生まれた嘘はいくつ?

糖分過多注意。




x x x x x


「ウソップ、別れてくれ」
と言われたとき、不覚にもおれの脳はすぐにその言葉を理解できなかった。
ソファに並んで座り、互いの手は互いの服にかかったまま。
キスをしたあとだった。
おれは多分、すごく妙な顔をしていたと思う。サンジが、目をそらしたから。
「…あーあ」
だからおれは、笑顔を作ってやった。
サンジのネクタイから手を離し、おれのオーバーオールにかかっていたサンジの手を外し、ソファに寄りかかる。
「やっぱりなァ」
サンジは、目を合わせようとしない。
分かっていた。
分かっていたさ。
サンジは女が好きで。
おれは女じゃない。
サンジは優しいから、おれが真っ赤になってした「好きだ」なんていう一世一代の大告白に心を打たれちゃっただけ。
同情してくれちゃっただけ。
分かっていた。
分かっていたさ。
分かっていた、はずなのに。
「…あと、数分待ってくれれば良かったのになァ」
おれは、時計を見た。
おれの作ったはと時計。と言っても、はとの代わりに小さなアヒルが飛び出す仕掛け。
片目を隠して眉毛の巻いたそのアヒル時計は、この前のサンジの誕生日におれが送ったもの。
それから、まだ一ヶ月。一ヶ月も経っていないのに。
針は11時55分を指している。
「……そしたらおれは、記念すべきおれの誕生日に失恋、なんてステキなプレゼントもらわないですんだのになァ」
そう、あと5分間はまだ「おれの誕生日」。
さっきまで、皆で騒いで、笑って、酒を飲んで、一人一人船室に消えて、やっと二人になった所で。
なのに。
「ちぇーっ、空気読めねェのかよお前。ばーか」
「馬鹿はお前だ」
最初の言葉から、初めてサンジが口を開いた。
何か、耐えているような声。
「おいおい、そりゃおれは馬鹿さ。何たって女好きのお前に惚れちゃう男だぜ?」
「そういう、意味じゃねェ」
時計の針が進む。
ああ、おれの誕生日はあと1分も残ってねェ。
手首で何かがチャラ、と鳴った。プレゼントだと、ナミがくれたブレスレット。
そう言えばサンジは何もくれなかったな、と思い出す。
ケーキにご馳走は用意してくれたけれど、それは誰の誕生日でも同じ。
結局サンジにとっておれというのは、自分以外8人の仲間の中の一人でしかなく、片思いと別れを経て、今、それ以下になっちゃったのかもしれないなあ、とおれは思った。
かちり。
時計の針が進んで、おれの誕生日終了のお知らせ。
もういいや、と思った。もう、今日はおれの記念日じゃないんだから。
もう全部、過去にしよう。
「愛してた、サン―」

『グワッグワッ、グワッグワッ、…』
間抜けな声は、あのアヒル時計が時を告げる合図。
しかし、それを笑うことはおれには出来なかった。
なぜならその声と同時に、おれはソファに押し倒されてサンジに口をふさがれていたから。
「ん、ッ…!?」
サンジの舌が混乱するおれの歯列を割り、口内に侵入してくる。
そのまま舌をからめられ、吸われ舐められ、おれは混乱する頭を整理できないまま為すがまま。
たっぷり5分間はその調子で、やっと満足したようにサンジが体を起こす。
「…どうした」
「…力、はいんない」
起こして、と手を伸ばしてみたが、その手が掴まれることはなかった。
「ぐふーッ!?」
代わりにサンジが降ってくる。細身とは言え男一人分の体重を胸部で受けたおれは視界が白くスパークするのを感じた。
あ、死んだのかもしれない、と思ったのは、強く抱きしめられたから。
生きているにしてもきっと夢を見ているのだ。おれにとってだけ、幸せな夢を。
「…サンジ?」
「…」
「サンジ」
「…ウソップテメェ…昨日が何の日だか知ってんだろ」
さっき、アヒル時計が鳴くまでの日付。そんなの知ってる。さっき自分で言ったばかりだから。
「しがつついたち。おれの誕生日。」
「で、エイプリルフール」
…ああ。
理解した。理解してしまった。理解してしまったぞ。
四月一日。
エイプリルフール。
嘘をついても許される日。
…つまり?
「嘘だ」
「…何が」
「別れて欲しいなんて言ったこと」
「…」
「ごめん」
「ご、ごめんって言うくらいなら最初からすんな!」
「だけどよ、お前ならすぐ理解してくれると思ったんだよ!」
自分の誕生日のことは自分が一番良く知ってるだろ、と言われて、おれは全身から力が抜けるのを感じた。
サンジが体を起こし、おれを睨み付けてくる。
「予想外だ。お前、そんなにおれを信用してなかったのか?」
「ば、違ェよ!ただ、お前の演技がすげェ真に迫ってたから…!」
それに、と小さくおれが続けると、サンジはそれに?と鸚鵡返しにした。
「…めいわくだと、思ってたから」
「迷惑?何がだ」
「おれの…その、告白とか。サンジにとっての存在とか。思いとか」
「馬鹿か」
「ば、馬鹿とは失敬な!」
「馬鹿に馬鹿と言って何が悪い、このクソ野郎!」
あ、何か散々言われてる気がする。めちゃくちゃ怒ってる気がする。
「さっき、やっぱりなって言ったな。おれが、テメェの大事な日にそんな話をすると思うか?」
「だってしたじゃねェか」
「だからあれはエイプリルフールで…!ああクソ」
半分キレたような表情のサンジが降ってくる。
「理解しろ」
そのまままたキス。
また差し込まれた舌に、今度は少し答えてみる。
サンジのキスは気持ちがいい。慣れてるんだろうなァというのはちょっとアレだけど、でもこうして何度もされていると、もしかしたら、本当に愛されてるんじゃないかと、勘違いする。
「勘違いじゃねェ」
離れた一瞬に、サンジが言葉をつむぐ。
「一日遅れで悪いが、ウソップ」
「…」
「誕生日おめでとう。おれも愛してる」
返事をしようとしたおれの唇は深く塞がれて。
言葉に出来なかった分をその中で示せただろうか。
でもこの唇が離れたら、もちろん、おれだって言うんだ、その言葉を。
ソファに倒れこんだまま、触れた手の指先を絡め合わせた。


四月一日はおれの誕生日、もちろんおれにとっての記念日だけど。
きっと来年からは、その次の方が記念日になると思う。
今日は、おれとお前が、初めて想いを口に出した日。




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なんだこれえええええええええ
あっまああああああああああい
マックスコーヒーよりもあまああああああいいいいい

実は半年くらい前に書いた。
サイトでは、サン誕と繋がる話あげたいなーと思ったのでボツ。
そっちは明日あっぷします。
サン誕が前日話だったのでウソ誕は次の日話。

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