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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

バントライン(仮称)・4

【わんぴ】サンウソ

・一味離散後捏造話
・サンジとウソップとクロネコ海賊団の皆様しか出てきません
・未完結で途切れる予定。

 [1]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/111/
 [2]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/112/
 [3]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/115/





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暗がりから細い影がゆらゆらと近づいてくる。その手に、銃身の長いピストルが握られているのがシルエットで見えた。
「キャプテン…?どこだ…?」
息を潜めるような細い声。まだ若い男の声だ。
サンジは、息を呑んだ。
その声は…。その声は。
「ここだ、バントライン」
「バントライン?」
それが、彼の名前か?
そんなはずはない、と開きかけた口のまま、サンジは闇の中に目を凝らす。
キャプテン・クロの声に答えるように、自信のなかった足音が早まってこちらへと近づいてくる。
チャリチャリと言う音は多分、鍵束の音だろう。
その鍵を奪えば一人だって逃げられるだろう、という数分前までの考えすら、サンジの頭からはなくなっていた。
だって、バントラインなんてそんな名前のはずがないのだ。
なぜなら、その男は―
「遅ェよ、バンちゃん」
やっと格子戸の前まで男がたどり着いた。
細身の体を黒い衣装に包んだ若い男。サイレンサーの付いた大きめの銃を片手でぶら下げている。
「良かった…キャプテン、無事だな?シャムも」
「ああ。…鍵は?」
「盗って来た。…早く出よう。外でブチたちが暴れてくれてるけど、思ったより警備が硬い」
「寄越せ」
「うん。…あれ?そっちは?」
男の目が、驚きに目を見開いているサンジを捉えた。
大きな目。男にしてはまつげが長い目だ。
そして、その男が正面を向いたことで改めて分かった―シルエットのときからわかっていた―その、長い鼻は。
長い、鼻は。

「ウソップ…!!」
そうだ、その鼻は。いや、鼻だけじゃない。その細い体も、黒い癖ッ毛も。
まつげの長い大きな目だって骨ばった指だって声だって、全て全て懐かしいその姿。
その瞳が細まって笑う顔や、その口が唾を飛ばすようなスピードでマシンガンのように言葉を紡ぐのを、サンジは良く知っている。
「…?人違いじゃねェか?」
しかし、良く知っているはずのその頭部は少しかしげて、良く知った声でそんなことを言うのだ。
「いや、人違いって…ウソップ、だろ?そんな長ェ鼻してる奴をおれは他に…ああいや、一人いたか、角ばってるのが」
サンジは動転して、うまく喋ることが出来ない。
目の前にいるのは一年近く離れていた仲間で、しかも、さっきまで思い出していた相手で。
良く見れば、自分も少し雰囲気が変わっているのと同じように、目の前の姿も少し雰囲気を変えているようだった。
いつものオーバーオールを身に着けていないしバンダナもない。いつも肩からかけていた鞄もなく、代わりにゴツいウェストポーチを巻いていた。
そしてその手には、銃が握られているのだ。
「…」
その男は、不審そうな顔をしているだけだった。何も言わない。
「ウソ、」
「おれの名前はバントライン。ウソップなんて奴じゃねェよ」
鼻の長い男―バントラインは、そう言い切った。サンジの目をまっすぐに見つめて。
「…クロ、早く行こう。ブチたちが待ってる」
「ウソップ!」
「おれはバントラインだって言ってるだろ、金髪のお兄さん!…クロ!こんな奴放っといて、」
「バントライン」
遮ったのは、呼ばれた当のクロだった。
ゴトン、と外した手錠を地面に捨て、バントラインを振り返った。
「コイツも連れて行く」
「な、何で…?」
「ここで仲良くなった。なァ、黒足?」
「…」
突然話を振られ、サンジは一瞬言葉を失う。
仲良く、なんていうのは馬鹿にしているのだろう。その証か、振り向いたクロの瞳は嘲るような色を浮かべていて。
「『黒足』?」
「こいつは『麦わらの一味』だ。それで、実力は保障されるだろう?」
「麦わらの…」
そう呟いたバントラインの目に浮かんだのは、懐かしさではなく不審の感情。
「…懸賞金と名前は?」
名を、聞かれた。
「……懸賞金は7700万。名前は―『黒足』のサンジ」
「サンジさん、ね」
「サンジでいい」
バントラインは、気分を害したように鼻を鳴らした。
その姿は、今夜の夕飯にキノコが入れられると知ったときのウソップの表情に良く似ていた。

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