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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

バントライン(仮称)・5

【わんぴ】サンウソ

・一味離散後捏造話
・サンジとウソップとクロネコ海賊団の皆様しか出てきません
・書きためここまで。この後は続くかどうか未定です。

 [1]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/111/
 [2]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/112/
 [3]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/115/
 [4]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/116/





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こういうことは、前にもあったとサンジは思う。
その時、ウソップは「そげキング」と名乗っていた。
あの時は「ウソップ」は麦わらの一味から離れていたから、彼としても苦肉の策といった所だっただろう。
現にいくつもボロが出ていたし、サンジがそげキングを仮面の下の名で呼んだ際も、返事をした。
だが、今回はどうだ。
サンジがその名を呼んでも顔色一つ変えなかった。
自らをバントラインと名乗り、サンジの名も知らず(知らない振りをして?)。
何かサンジの知らない事情があって「ウソップ」ではいられないのかとも思ったが、キャプテン・クロはウソップのことを知っているはずだ。
ならば。
(…記憶を、失っているのか?)
バントラインと名乗る男は、手錠を外し牢屋から出たキャプテン・クロに、手振りを交えながら現在の状況を語っている。
「外はブチが皆を率いて何とかしてる。兵力差は、結構あるけど…」
「ジャンゴからの連絡は?」
「あったはずだよ。だけど思ったより海兵、残ってる」
「…シャム、先行してブチを手伝え」
「はいはい、キャプテン」
ニヤニヤ笑いの男―シャムと言うらしい―はそう返事をして、音もなく駆け出した。
それを見送った後、クロはバントラインを振り向き、それからサンジを親指で指した。
「あいつの手錠も外してやれ、バントライン」
「…うん」
嫌そうにバントラインは頷き、それでも命令を聞いて牢屋の中に入ってくる。
「手、出して。黒足」
「サンジでいい」
「黒足」
「…」
サンジは言われたとおり、手をそろえて差し出した。
「…あんた、麦わらの一味なんだろ?」
話しかけてきたのは、バントライン。
「ああ」
「強いのか?」
「懸賞金に見合うくらいの実力は持っていると自負しているが」
「…なら、何で捕まったんだよ」
「…」
向けられた視線から目を逸らす。
笑い話にしてしまえばいいとも思ったが、何となく、バントラインにはその理由を言いたくなかった。
「…まァ、いいんだけどさ」
がちゃり、という音と共に、サンジの両腕は自由になった。
「はい、終わり」
バントラインが手錠を牢屋の隅に投げ捨てる。
彼が狭く暗い牢を出るのに続いて、サンジもそこを出た。
「そういえばクロ、そっちの目的は見つかったのか?」
「まァな。捕まった甲斐があったというものだ」
そこで、クロはちらりとサンジを見、
「…思わぬ拾い物もあったしな」
「…」
サンジは自由になった両手を確かめる振りをして、手のひらに強く爪を立てた。
クロはそんなサンジからすぐに視線を外し、歩き出した。
「行くぞ」
「おうっ」
バントラインが続く。
サンジも、それに着いていくしかなかった。

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