バントライン(仮称)・5 海賊 2010年06月09日 【わんぴ】サンウソ・一味離散後捏造話・サンジとウソップとクロネコ海賊団の皆様しか出てきません・書きためここまで。この後は続くかどうか未定です。 [1]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/111/ [2]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/112/ [3]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/115/ [4]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/116/ xxxxxこういうことは、前にもあったとサンジは思う。その時、ウソップは「そげキング」と名乗っていた。あの時は「ウソップ」は麦わらの一味から離れていたから、彼としても苦肉の策といった所だっただろう。現にいくつもボロが出ていたし、サンジがそげキングを仮面の下の名で呼んだ際も、返事をした。だが、今回はどうだ。サンジがその名を呼んでも顔色一つ変えなかった。自らをバントラインと名乗り、サンジの名も知らず(知らない振りをして?)。何かサンジの知らない事情があって「ウソップ」ではいられないのかとも思ったが、キャプテン・クロはウソップのことを知っているはずだ。ならば。(…記憶を、失っているのか?)バントラインと名乗る男は、手錠を外し牢屋から出たキャプテン・クロに、手振りを交えながら現在の状況を語っている。「外はブチが皆を率いて何とかしてる。兵力差は、結構あるけど…」「ジャンゴからの連絡は?」「あったはずだよ。だけど思ったより海兵、残ってる」「…シャム、先行してブチを手伝え」「はいはい、キャプテン」ニヤニヤ笑いの男―シャムと言うらしい―はそう返事をして、音もなく駆け出した。それを見送った後、クロはバントラインを振り向き、それからサンジを親指で指した。「あいつの手錠も外してやれ、バントライン」「…うん」嫌そうにバントラインは頷き、それでも命令を聞いて牢屋の中に入ってくる。「手、出して。黒足」「サンジでいい」「黒足」「…」サンジは言われたとおり、手をそろえて差し出した。「…あんた、麦わらの一味なんだろ?」話しかけてきたのは、バントライン。「ああ」「強いのか?」「懸賞金に見合うくらいの実力は持っていると自負しているが」「…なら、何で捕まったんだよ」「…」向けられた視線から目を逸らす。笑い話にしてしまえばいいとも思ったが、何となく、バントラインにはその理由を言いたくなかった。「…まァ、いいんだけどさ」がちゃり、という音と共に、サンジの両腕は自由になった。「はい、終わり」バントラインが手錠を牢屋の隅に投げ捨てる。彼が狭く暗い牢を出るのに続いて、サンジもそこを出た。「そういえばクロ、そっちの目的は見つかったのか?」「まァな。捕まった甲斐があったというものだ」そこで、クロはちらりとサンジを見、「…思わぬ拾い物もあったしな」「…」サンジは自由になった両手を確かめる振りをして、手のひらに強く爪を立てた。クロはそんなサンジからすぐに視線を外し、歩き出した。「行くぞ」「おうっ」バントラインが続く。サンジも、それに着いていくしかなかった。 PR