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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

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かわいそうなネサラさん

それは彼にとっての日常。 ティバリュシ←ネサラ
キャラ壊れ注意。



x x x



「リュシオン!」
さっきまで隣にいたはずなのに、ちょっと目を離した隙にいなくなってしまった。
ネサラはきょろきょろと周りを見渡し、白い羽の彼の姿を探す。
「せっかく木の実を取ってきたんだがねぇ…」
両手にはいっぱいの木の実。
おいしそうだ、とリュシオンが言ったから、じゃあ俺が取ってきてやるよ、と。
取ってきて、戻ってきた時にはもう誰もいない。
ため息をつきながら見上げる空は、無駄に青い。
「…ん?」
民気をついた瞬間見えた、青い空に4つの飛影。
茶色い羽が3つと、白い羽が1つ。

「あ、ネサラ!」
ぶんぶか手を振る白い羽。めいっぱいの笑顔。
「…リュシオン?」
「さっきそこでティバーンに会ったのだ!これから少し彼らと出掛けてくる!」
そう言い終えると、4つの影はどんどんと遠ざかっていった。

「…おのれティバーン!!」(←こんなキャラじゃない)
叫ぶ声も空までは届かず。




「リュシオン、さっきアイクにおいしい菓子をもらったんだ。
 俺はあんまり甘いものは好きじゃないからな、お前にやろうと思って」
廊下でばったり出会った(ように見せかけて実はずっと待っていた)リュシオンに、ネサラは包みを差し出す。
しかし、リュシオンは受け取らず、困ったような笑顔を浮かべてネサラを見返すのみ。
「ネサラ…悪いが、私は木の実しか食べられないのだ」
「あ、そうだったな…すまん」
そんな重要なことを忘れていた自分に、呆れるしかない。
しかし、リュシオンは微笑んだ。
「いや、気持ちはありがたく受け取っておこう。ありがとう、ネサラ」
「リュシオ…」
「あ、ティバーン!」
ネサラが何か言う前に、リュシオンは全速力で、通路の角に現れた鷹王の方へダッシュ。
「ティバーン、今ネサラにおいしいお菓子を貰ったんです!
 ネサラは好きじゃないって言うから、ヤナフとウルキを誘って、4人でティータイムにしませんか?
 私はお菓子を食べられないけど、みんなと話をするのは好きですから」
「おお、いいな。二人とも部屋にいるはずだ、俺の部屋に行こう。
 …悪いな、ネサラ。(色々と。)」
そして二人でUターン。
「そうでした、ティバーン、さっきアイクが…」
しかもカラスのことなんて忘れたように雑談開始。

「…おのれティバーン!!」(←こんなキャラじゃない)
叫ぶ声も二人の世界には届かず。




無視するなと怒ったら、何故無視したらいけないのだと逆切れされて。
ああなんで俺はこんな奴が好きなんだろうとちょっと思って。
それでも怒る横顔が綺麗だなぁとか思ってみたり。

「リュシオン、機嫌直してくれよ。な、この通り!」
「…」
拝み倒す烏の王に、少し心を動かされたのか、白の皇子は、腕組みして考え込んだ。
「反省してるって。な?」
「…じゃあ、3回回ってカーと鳴け。」
「…は?」
「ティバーンが教えてくれたのだ。相手に反省させるには、こう言うのが決まりだとな」
「…(…おのれティバーン!!)」(←こんなキャラじゃない)
心の声は、誰にも届かず。

くる、
くる、
くる、
「カー」

「…うん、予想以上につまらなかったな」
「………………こ、これで許してくれるんだな?」
「ああ」
「よし、じゃあリュシオン…」
「では、この後ティバーンと約束があるから、じゃあな」
「…」

「ニアルチーー!!鷹の王が俺のこといじめるよ!!」(←こんなキャラじゃない)





(↑まさかの続き)
「それは大変ですぼっちゃますぐにタカ共に報復を!」(←こんなキャラじゃない)

次の日、タカ王のところに、ネサラ率いるカラスの群れがやってきた。
「…不吉な」
大量の真っ黒なカラスを見て、ティバーンは呟いた。
そりゃもう、ベランダの柱やら屋根やら電信柱やら(?)所狭しとカラスが並び、カーカー鳴いている。
こんな光景、都会の生ゴミの日くらいにしか見たことがない。
「ティバーン!リュシオンをかけて俺と勝負をしろ!」
ビシッと指差して大声で宣戦布告するカラスの王様。
ネサラは(決まった…!)と思ったが、ティバーンの感想は(…コイツ、アホ?)だった。
ちなみに部屋にいたヤナフとウルキも同じ感想を持った。

「勝負は一回、ルールな簡単。どちらか、死んだ方が負けだ」
「…負ける負けないの前に、死んだら、国の民達はどうするんだ…?」
「いいか、いくぞッ!」
こんなことで死にたくないなぁと思いつつ、ティバーンはネサラの一撃目を避ける。
二人とも、化身はしていない。
オンリー肉体で勝負なのだ。…まあ、化身した姿も肉体ではあるのだが。
「くそッ、マッチョのくせに素早いやつめ…!」
「マッチョは関係ないだろ」
「これでも喰らえ!」
「おっと」
渾身のマッパハンチ…もとい、マッハパンチも軽くかわされる。
「いいぞータカー!カラスを叩きのめせー!」
「負けるなよカラス!今晩のメシがかかってるんだ!」
いつの間にかギャラリーは増えまくり、賭け事をし始めた奴がいる。
アイクだとかセネリオだとか、この軍の偉い人もいたりする。で、野次を飛ばしてたりする。
そしてこれだけの騒ぎになれば、この軍にいる彼が気付かないはずがない。
神聖な男たちの戦いの場(と書いてリングと読む)に、突如、ある意味事態の中心にいる人物が乱入した。

「何をやっているこのカラスやろう!!痛い!!」
バキィ!と派手な音を立てて、カラスではなく殴ったサギが倒れた。
「リュ、リュシオン!?大丈夫か!?」
ネサラが彼を助け起こそうとすると、リュシオンはその手を振り払った。
「さ、触るな…カラス臭が移る…」
「カラス臭!?」
それでも一人では起きられないようなので、後から来たウルキが彼を助け起こす。
その後ろからティバーンが駆け寄り、不安そうにリュシオンに声を掛けた。
「リュシオン、大丈夫か?」
とたん、ガバリと顔を上げてまくしたてるリュシオン。
「ティバーン!ネサラに何もされていませんか?怪我などしてはいないですか!?」
「…大丈夫そうだな」
何だか殴った手が真っ赤になっている上腫れている気がするけれど。
何だか目に涙が浮かんでいる気がするけど気のせい。
倒れた時に手が変な方向に曲がった気がするけどこれも気のせい。
白の王子は泣かないよ。だって男の子だもん。
「ネサラ、何故こんなことをしたのだ!」
「だ、だって…なぁ?」
「なぁもカァもない!なぜこんなことをしたのだと聞いているのだ!」
周りのギャラリーたちは、面白いことになってきた、とにやにや見守っている。
「だ、だってリュシオンがさー、俺と全然遊んでくれないからさー」
「私はお前よりティバーンが好きだと言うだけの話だろう!何故わからない?」
「だって俺もリュシオンと話したり菓子食ったりしたいもんー!」
(・・・キルヴァス王、何か幼児化してないか?)
(…キモいな)
タカ王の側近二人が後ろでこそこそ話しているが、ネサラは気付いた様子はない。
「とにかく!」
リュシオンが強引にまとめに入る。
「今度ティバーンに何かしたら、もう絶交だからな!」
(((絶交…)))
その言葉の響きに鷹三匹はげんなりする。どこの子供のけんかだよ。
だがカラスはとてもダメージを受けたようで、まっしろになってしまっている。
「じゃあ、私はもう行くぞ。…ティバーン、行きましょうっ!」
「ああ…ネサラ、悪いな」
今度は、ほんのちょっとだけ、本当に悪いなとおもいつつ、ティバーンはリュシオンの後に続く。
ヤナフとウルキもそれに続く。
面白かったなーとかいいながら、ギャラリーも散っていく。
ネサラが一人、取り残された。
その肩をポン、と暖かく叩かれ、泣きそうになりながら、ネサラは振り向く。
「…せっかくお前にかけてやったのに」
満面の笑顔でそう言ったセネリオに、ネサラは微笑み返すことしか出来なかった。

「ニアルチ…」
「なんでしょう、坊ちゃま?」
「俺…何か悪いことしたのかな…」
「ふむ、あえてあげるなら、あの方に惚れたことでしょう」
「ああ…そうだな…そうだよ、本当に…」
でも、きっと一生好きなんだろうなぁとか、夕焼けに浮かぶ大きな鳥の影を見ながら、そんなことを思った。



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何だこの長いネサライジメ。
ちょいと古いので色々アレです。

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