オレンジ探偵社の愉快な人々[2] 海賊 2010年09月04日 ~これまでのおはなし~[1]http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/122/このシリーズには以下の要素が含まれます。・退魔師系パロディ。・なんちゃって退魔師なので、間違った知識がウロウロしてます。・なんちゃってオカルト、怖い話系のネタを含みます。・あんまり退魔してないです。・メインはウソップ、ナミ、サンジ、ゾロ辺り。・ゾロサン、サンウソ要素が濃い目にあります。・サンジが節操なしです(他CPも可能性有)3話目くらいまで何も含まないとか言ってたけど今回普通にゾロサンとサンウソ含みます。でも退魔は含まない。あとサンジ好きにはあんまりお勧めしない。大丈夫そうでしたら以下からどうぞ。 x x x x x 隣室は普通の会社の事務室のようになっている。スチールの机や棚が並んでいるのだ。とは言っても俺の生活スペースの一部だから、テレビやらゲームやら本やらも散らばっているのだけれど。 その奥が、寝室とか洗面とかに繋がっているのだ。今俺の用事がある場所はその寝室。もともと仮眠室か休憩室のように使われていたらしいその部屋は、今は俺が寝室として使っているのだが、この部屋にはベッドが二つあるのだ。片方は俺のベッド、もう片方は客用。 そして今この部屋には二人の人間が泊まっていて、ベッドは使用されている。しかし、使用されているのは客用の方だけ。 …お分かりだろうか。つまり、二人は同じベッドで寝ているのだ。男同士で。人の部屋なのに。だから俺はソファで眠る羽目になるわけで。 寝室の前にたどり着いた俺は、扉に耳をつけて中の様子を伺った。起きている気配はない。さすがにこんな朝っぱらからというような馬鹿なことはないだろうが、とても確かめずに扉を開ける勇気はないのだ。とりあえず、少なくても「最中」に鉢合わせることはなさそうなのが分かったので、俺は覚悟を決めて大きく深呼吸。ノックを二回。「…入るぞー」 声をかけて、細く扉を開いた。「…」 カーテンの閉まった部屋はもちろん暗い。籠もった、人間のにおいがした。 奥にある客用のベッドに盛り上がりが見える。毛布の下からはずり落ちた片足。筋肉がついているし日焼けをしているから、これはゾロの足だろう。それでは、奥にいるのがサンジか。ゾロの大きなイビキは聞こえるが、サンジの寝息は聞こえなかった。「起きろー。仕事だぞー。朝ですよー」 俺は適当なことを言いながら、ベッドに近づき、手を伸ばしてその向こうにある窓のカーテンを開けようと身を乗り出す。 その瞬間。「うおっ!?」 急に伸ばされた腕が首に絡み付いてきて、俺は体勢を崩してベッドの上に倒れこんだ。「サっ、サンジッ!」「はよ、ウソップ」 金髪の男が、俺を見ていた。サンジだ。ズボンしか身に着けていないようで、裸の胸が毛布の下から覗いている。抗議しようと腕を掴んでも、俺を放してくれる気配はない。仕方なく俺はゾロの腹の辺りにうつ伏せに倒れこんだまま、無理に首を曲げてサンジを睨みつける。ゾロの硬い腹筋とか肋骨とかに潰されている肺が痛い。「何してんだよー」「昨日一回しかシてねェから盛ってる」「朝からかよ…ぉわ、」 俺の言葉にサンジは言葉を返さず、耳に噛み付いてきた。こういう男なのだ。他の男に抱かれた体のまま、朝っぱらからでも別の男を抱こうとする。別にゲイというわけではないらしくて、女性が好きすぎて神聖視しているこの男は、男ならばいくら汚れていても構わないと思っているようだった。それを自分だけでなく、他の奴にも適用しようとするから困る。 耳から首筋に降りてくる唇。このままだと押し切られそうなので、俺は早々に切り札を出すことにした。「…もう、隣にナミ来てんだけど」 ベッドから蹴り落とされた。「何故それを早く言わねェ!」 床に潰れた俺の上にゾロが降ってくる。筋肉のついた体は非常に重く、ついでに全裸だった。「おいクソマリモ!起きろ!仕事だ!」「いででで、俺ごと踏むなッ!!」「…ん…」 サンジが思いっきり蹴りつけ、やっとゾロが目を開ける。小さなうめき声を上げながら、二重のまぶたが持ち上がる。「…朝か」 開いてもなお悪い目つき。爽やかな草原色の三白眼。それがようやく自分の下で潰れている俺を捕らえた。「…朝だよ。おはよう、ゾロ」「………昨日はお前と寝たんだったか?」「んなわけねェだろ。とっとと起きて服を着ろ」 俺が頭を軽くはたくとゾロは寝ぼけ眼を擦って、大きく伸びをした。俺はゾロの下から這い出て、近くに散らばっていたシャツやらズボンやらを放ってやる。その間にサンジは、いつの間にか浴室に入っていたらしい。水の音が聞こえてきた。「サンジが使い終わったらお前もシャワー使って来い」「面倒臭ェ…」「ナミの前に、そんな格好で出るつもりか?」 汗をかいているし、胸元なんかにはちょっと直視するのは恥ずかしい痕があったりするし。俺がちょっとだけ目を逸らしながらそう言うと、ゾロは気づいているのかいないのか、あくびをしながら裸の胸をぼりぼりとかいた。「とにかく、10時には客が来るんだ。ちゃんとした格好しとけよ」「客?どっちのだ?」「馬鹿、お前らに声かけんだから、本業のほうに決まってるだろ」「あァ…」 ゾロの目が変わる。本業、という言葉が効いたのだろう。「…じゃあゾロ、俺朝食用意しとくから。サンジにも、急ぐよう伝えといて」 それをゾロに言い残し、俺はもう一度事務所のほうに戻ることにした。 10時まで、あと1時間半くらいしかない。用意しなければいけないことはいくらでもある。 ここで、ゾロとサンジ、『オレンジ探偵社』の二人のバイトを紹介しておくべきだろうか。 ゴツい方がゾロ、細い方がサンジ。一見怖そうなのに実は優しいのがゾロ、一見優しそうなのにまったく優しくないのがサンジ。正反対の二人である。 ゾロは建設会社の社員、サンジはレストラン勤務が本業だ。『オレンジ探偵社』での仕事はバイトみたいなものなのだろう。一度給料明細を見せてもらったら俺の半分以下で、ちょっと驚いた記憶がある。 二人とも俺と同じように、ちょっと特別な体質を持っている。だからこそナミに目をつけられて、こんなバイトをする羽目になったのだ。 二人は常に一緒に行動しているわけではないけれど、夜を共にしたりすることが結構多いみたいだった。しかも大抵、この『オレンジ探偵社』の寝室でイチャイチャしているのだから嫌になる。しかし、どうやら恋人同士というわけではないらしい。そりゃそうだ、サンジがあの性格なら。ゾロは半ば本気でサンジに惚れてるみたいにも見えるけれど、あの仏頂面では本心は分からない。-----ということで第二話でした。ゾ…ゾロサンまともに書くの初めて…って言うかこういうネタ自体、ちゃんと書いて世に出すのは初めてな気がする。…これくらいだったら全然年齢制限とか要らないよね?このレベルのゾロサンとサンウソその他を今後も含みます。そして今回も退魔要素がまったくありませんでし た!もうこれ何パロよ。 PR