忍者ブログ
マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

【海賊】掃除中の、ちょっとしたこと

【海賊】S+U

年末に妄想したものなので、
ちょいと時期がずれてますが。
大掃除とかおせちとか。
xxx

コンコンとノックされる音に、ウソップははぁいと答える。

「おれだ」
「お前か」
「何だその返事」

喉の奥で笑いながら部屋の扉を開けたのはサンジだった。にやにやしながら現れた表情は、しかし扉の中の惨状を視界に収め、憐れむようなそれになる。

「…大変だな」
「ほっとけ」

ウソップはふてくされた声でそれに答えた。そのまま手に持っていた何かをサンジに投げつけてくる。
扉を軽く閉めてそれをサンジは避けた。
もう一度扉を開いても、そこは元と同じ惨状。
当然だ、なんといってもここはウソップ工場本部なのだし、さらに言うならば今現在、その主が大掃除を行っているのだから。
スパナやハンマー、レンチといった大工道具はそこら中に散らばり、何に使うのかわからないガラクタや木片などは、そこここに小山を作っている。
そしてウソップはその真ん中、布を敷いた木箱の上という一段高い場所に座り込んでいた。

「…で、何しに来たんだよ」

そんな、ゴミなのか重要物なのかよくわからないものを眺め回しているサンジに、ウソップが声をかける。

「おお、そうだそうだ。これ持ってきた」

じゃん、と口で効果音をつけながらサンジが取り出したのは、一本のスプーンだった。
大きめのそれには、さじの部分に何か黄色いものが乗っている。

「なにそれ?」
「掃除中に便利な、手が汚れない一口おやつ」

サンジはずかずかと部屋の中に入ってきた。
用途ごとに分けてある品物たちを足で乱暴に避けているものだから、ウソップは気が気ではなかったが、目の前にずいとそれを出されればすぐに興味はそちらへ移ってしまう。

「食え」
「おう」

スプーンの先には、何かべとべとした黄色い物体が乗っていた。余り見たことがない物体だし、黄色は非常に鮮やかで。鼻を近づけてみたが、特に匂いはしない。

「…持病の、何だかわからんもんを食ってはいけない病がー」
「いいから食え」
「むぐ」

ぐい、と肘を押され、黄色い物体が口に当たる。仕方が無いのでそれを食べてみることにした。サンジの作るものだ、食べられないもののはずはないし、多分まともな食べ物ではあるのだろう。全く味の検討もつかないのだが。
しかし。

「お」
「どうだ?」
「イモ?」
「当たり」

そう、それは芋の味だったのだ。まるでスイートポテトのような滑らかな。

「あまー。うまいな、これ」
「甘いだろ?実はほとんど砂糖使ってねェんだが」
「へ?じゃあ芋のみでこの甘さなのか?すげェな!」
「おう、もっと褒めろ」
「すげーぜ、芋!」
「芋かよ」

さっきまでなんたら病だとか言っていたウソップは上機嫌だ。自分の作ったものが人を笑顔にすることができることを再確認し、サンジの頬も緩む。
芋のペーストはすぐに舐めとられ、スプーンはすぐに銀色に戻った。

「ごっそさん。これで完成品?」
「いや。味付けして栗入れて、栗きんとん作る」
「おー!そりゃ楽しみ」
「毒見、ご苦労」
「毒見かよ!」

片手を上げ、ニヤリと笑ってサンジは出ていってしまった。
憤慨したように拳を振り上げていたウソップは、扉の閉まる音に、ゆっくりとその手を下ろす。


「ったくもー」

元の位置に座り込んで、何をしに来たのかわからない料理人の出て行った扉を苦笑しながら見つめた。
いや、何をしに来たのかなんてそんなのは簡単だ。あの、芋のペーストを食べさせるために来たのだ。そのためだけ。

「…でもさ、毒見とか言いながら、アイツ絶対他の奴らにも持ってってるよな」

毒見なんてそんなのは言い訳で、疲れた体に甘いものがすごく幸せなことを知っているから。それから、ちょっとした会話なんかも気分転換に。
ふざけた調子に隠されているのは、いつだって仲間たちに対するあふれんばかりの優しさだ。

「次はチョッパーか?フランキーかな。ナミたちにはどんなの持ってくのかな」

そんなことを考え始めたら楽しくなってきた。
きっとチョッパーにもフランキーにも、さっき自分がもらったのと同じようなスプーンが1本渡されるのだ。ルフィ辺りならすぐに食いつくだろうが、ゾロなんかはどうだろう?想像の中でゾロに銀色のスプーンを咥えさせてみたら思わず吹き出しそうになったので、慌てて考えを変えた。
ナミやロビンには、きっともっとすごいのを持っていくのだろう。もしかしたら、栗も入った完成品かもしれない。

「―さーてと!」

その完成品をウソップが食べるのは、きっと年が明けてからだ。
素晴らしい年明けを迎えるためには、ここを片付けなければいけない。
砂糖と自然の甘みが体中をめぐって、少し元気が出てきた気がする。

「やりますか!」

早く片付け終われば、その分サンジの手伝いなんかもできるかもしれない。
そうしたら、もしかしたらまた毒見なんかで、完成品をちょこっともらえるかもしれないな、なんて。
そんなことを考えたりして。





xxx

セリフ多めでサンジを賛美してみた。

たまにはちゃんと友情モノ。
…になってるか、これ?


実はもなにも、妹との会話が元ネタだったりする。
どこかに妹ののたまったそのままのセリフ練りこんでみた。

毎年我が家は母&妹謹製栗きんとんが大盛りで出てくるわけですが
あの皿のなんと幸せなこと。
やっぱ料理うまい人って羨ましい。

拍手

PR