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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

言い逃げ

ただ一言、大丈夫だって言って欲しかったんだよ。GG/ソルとアクセル。
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荒廃した町。いや、今は廃墟と呼ぶべきだろう。栄えた日には人々が祈りを捧げ歌を歌った教会も、今や崩れた壁や屋根の破片、鉄骨、ベンチの欠片、そう言った物で埋め尽くされ、ステンドグラスの欠片だけがきらきら、元々それがはまっていた穴から差し込む光に反射して輝いていた。
ただ一脚全壊を免れたベンチに二人腰掛け、アクセルはろくに返事もしない男に話しかけていた。
「そう、それはまさしくどこまでも真黒な闇なんだよ」
大げさに両手を広げ、返事のないことすら気にかけず言葉を続ける。
「目の前に掲げた指すら見えないくらい。そうだね、落ちていく感覚なんだ」
ひゅうっとね、と指で虚空に真っ直ぐ線を描く。黒鉛の芯を持たないペンで描かれた線は描かれた端から何も残らない。
「自分に腹が立つとか気持ち悪いとかそういうのは不思議とないんだよね。ただ悲しいんだ。そいつに俺が迷惑をかけちまってるんだ」
ソルは、アクセルの声に泣きそうな響きがあることに気付いたが黙っていた。
アクセルはいつもそうだ、自分の喋りたいことを喋りたいだけ喋る。ソルの反応があってもなくてもだ。喋りたいだけ喋って、落ち着いたと思ったらまた喋りたいことができて、それの繰り返し。ソルはそれを騒がしいと思うが、不思議と嫌悪の情はなかった。今では一人酒場で飲んでいる時など、静かで、ふと怖くなる時さえある。
「俺のせいなんだよ、どう考えたって俺のせいだ。でも俺だって精一杯やったんだよ」
両膝の上で硬く拳を握り、やりきれない口調でアクセルが喋る。
「頑張ったんだよ。でも無理だった、何かに呪われてんじゃないかって思うくらい、何もかもがうまくいかなくて」
ふと、アクセルがソルを見上げる。
「ね、何か言ってよダンナ」
「…ああ」
トン、という音を聞いたような気がした。
ソルは空間が歪むのを感じた。過去から未来へと流れる自然の摂理を歪める感覚。それは音ではなく物事でもなくただの事象で、普通の人間なら気付かないだろう。だがソルは違う、過去に何度もこの事象が起きる場所に居合わせている。
これは、終わりのない旅の始まりの合図なのだ。
「…ねえ、ダンナ!」
話を変えるように立ち上がり、明るい口調でアクセルが言う。未だ座ったままのソルを見る表情は、彼自身が100万ドルと呼ぶ満開の笑みだったが、ソルはその裏に潜むやりきれない闇を見た。
歪む時間。事象。
「何で、俺がこんな話、ダンナにしたかわかる?」
いや、とソルは首を振る。
そっか、とアクセルはくるりと振り返り、腕を背中の後ろで組む。そのままゆったりと、廃墟の中心まで歩く。ステンドグラスの破片、きらきらと光。空間の歪む事象。人の力ではどうにもならない歪み。
アクセルの体が半透明に透けたのを見た気がした。
「あのね!俺、慰めて欲しかったんだよ!」
声、笑顔。事象が終わる感覚と共に、アクセルは溶けるように消えてしまった。
言い逃げだ、とソルは思ったが、引き止めるかのように持ち上げた左手のやり場に困り、仕方なく頭をかいた。
その腕を掴むことなら出来たかもしれなかったが、人の慰め方など知らなかった。

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ようわからんですけどアクセル。
にゃははーって笑ってる裏で寂しさとか苦しさとか溜めてるといい。
そして聞くだけ聞いてもらって言い逃げだー!(何
…ネットに初めて出すGGSSがこれか!orz
そんなら古いの引っ張り出してくればよかったにゃー。


リアルで本当へこむことがあってどうしようもなくって、
でも誰も聞いてくれるはずないからオンドリャアってとりあえず二次創作に走ってみました。
二次創作に走って開き直れるならきっとまだ私大丈夫なんだろうなぁ。

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