【銀魂】狗の憂鬱[2] その他SS/落書き/語り 2012年02月29日 【銀魂】山崎シリアス(土山)S方さんとM崎さん。※シリアス&ダウナー系ご注意。※大半が密偵山崎に夢を抱いた話となっています。※暗殺、軽い暴力、あんぱん、暴力と関係ない嘔吐、あんぱん、あんぱんなどを含みあんぱん。※全4話。土方さんはまだです。まとめ:[1] http://sets.blog.shinobi.jp/Entry/173/ ■ 狗の憂鬱[2](………?) その日の真夜中に、変化は起きた。 人目を気にするようにきょろきょろと辺りを伺いながら、ターゲットの戸口に近づいていく人影が一つ。辺りは真っ暗だけど、暗視ゴーグル越しにはよく見える。女だ。 ―――見たことのある、顔。 これは、別の機会に捕まえた攘夷浪士の情婦だった女だ。記憶にある顔と化粧は違うが、監察としての俺の目はそう簡単にごまかせはしない。目鼻の形、額の形、どの部位も、この女とあの指名手配の女が同一人物であることを示している。 既に、斬っても良いとの命が下されている相手だ。前の捕物では逃げられてしまったが、まさかこんなところで会えるとは。 これは、当たりか。 女は戸口に手をかけ、まだ思いつめるように辺りを伺ったあとその中に消えていった。 俺は、隠密の衣装に着替えるために暗視ゴーグルを床に置いて。 食いさしのあんぱんを、壁に投げつけた。 そして数分後、木彫屋の裏口から出てきた女は俺の足元に倒れている。 多分、死因は不明のまま、心筋梗塞として診断されるはずだ。 彼女の口に中身の大半を流し込んだ瓶に慎重に蓋をし、懐にしまい込む。辺りに人の気配がないことを確認してから、彼女の死体の横に屈んだ。(荷物は…と) 大きな鞄の中身は雑多なものであふれていた。財布はがま口で中身は金だけ。手帳も中身を見てみたが殆ど使われていないに等しかった。化粧ポーチにも、特に変わったものは入っていない。 携帯電話は、専用の機械と繋いで中身をSDカードにコピーする。そのまま持って行ってもいいのだが、彼女の遺族が彼女の持ち物が足りないことに気づいた時、自然死でないことがバレてしまう可能性が高いので。 データのコピーを待つ間また鞄を漁っていると、その雑多な小物たちの中にまざって、ハンカチで包まれた何かを見つけた。(―――これだ) 中身は、小洒落た女の荷物に相応しくない小さな木彫りの仏像。振ってみたら微かにかたかたと音がした。 財布、手帳、データのコピーが完了した携帯電話、それらを綺麗に元通りに詰めなおし、仏像だけは自分の懐にいれて。 死んだ女はそこに残して、俺はまた闇に溶けた。 結果はといえば、ビンゴだった。 倉庫の屋根裏に戻った俺は仏像を解体し、その中に仕込まれた薬品――袋に入った白い粉を発見。ロゴや但し書きのないそれを少し舐めてみたら舌が痺れたので、毒であることを確信する。種類まではわからなかったけれど。 仏像は、木彫屋の店頭に並んでいるものと同じデザインのもののようだった。数日前変装して買ってきたものと並べても違いはない。ただし、片方は中が空洞なのを除いて。見た目には全く違いはないので、店頭で取引されていたとしてもわからないだろう。 参った。挙動の怪しい客の写真は一応抑えてあるが、これでは足りないかもしれない。 普通の客を装って、なにか仲間にしかわからない合図を持って取引をしていたならば、そうと確信してみていないとわからないだろう。 とりあえず報告を、と立ち上がった所でぐらりと世界が揺れた。(さっきの毒………) 職業上あの程度の量の毒であれば耐性はあるのだけれど、流石に10日も不健全な生活をしていたところにこれは少々きつかったようだ。 やってしまった。 自分の不注意を呪うも、過ぎてしまったことは仕方ない。痛む頭をできるだけ揺らさないようにして、ゆっくりと立ち上がる。摂取したのはどうせ少量だし、屯所に戻れば医者もいる。 道を歩くには目立ちすぎる隠密衣装からまた私服に着替えなおして、俺はアジトの中を見渡す。どうせ、まだすぐに帰ってくることになるだろう。片付けなんか必要ない。 部屋の隅の牛乳だけは捨てておいたほうが良かったな、とは思いつつ、もう面倒くさくなって全部放置することにした。--------------------------------------------------こっそり隠密コスプレ&スパーキング。次話、土山系SM劇場スタート。 PR