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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

【銀魂】いぬのはなし。

【銀魂】土山

401話ネタ。
ジャンプ読んだ勢いで思わず。
モブの中にも山崎がいない時には妄想すればいいんだよってどっかの誰かが言ってた。

※401話をがっつり下地とネタにした土山話。
※性格捏造原田が出てきますのでご注意。

※思わずなノリで書きすぎて色々と破綻してます。
 いずれ書きなおす。





「はァ?犬ゥ?」

 思っきり語尾を上げて、俺は電話の向こうに問いかけた。
 その、自分ですらすっとんきょーだと思うような声に、電話の向こうの原田は耳を抑えたようだった。
 うるせえ!と声が帰ってきて、俺は慌ててゴメンと答えた。


 ■いぬのはなし。


 真選組監察・山崎退、張り込み3日目。
 まだまだあんぱん生活も始まったばかりで、心身ともに問題はない。
 それでも今後のことを考えれば気は重くて、せめて定時連連絡の時くらいは楽しい声が聞きたいと、原田に繋いでもらったのが間違いだった。
 奴はどうやら暇をしていたらしく、進捗なしという俺の短い報告が終わるのも待たずに世間話を始めたのだった。
 やれ昨日の夕飯はなんだの、やれ今日の調練はどうだったの、やれ今日読んだマンガがどうのと、一貫性もなければ重要性もない話題を、あっちへこっちへ振りまくる。
 任務のために借りたこの部屋から3日出ていない(ただし、コンビニには毎日通っている。)俺にとっては、屯所の話はどれも新鮮で面白かったけれど、しかし任務中なのだ。俺は。
 話題を切ろうと何度か言葉をはさもうとしたが、それはころころと変わる話題の継ぎ目にしかならず。
 奴が話し飽きるまで、これは付き合わないといけないのか、と諦めた時に、その話題が出たのだった。

『そうそう山崎。そういや今日は沖田隊長がよォ』
「はいはい原田。沖田隊長が?」

 半分飽きて、俺はそろそろ任務に戻ろうかと先程放り投げた双眼鏡探しながら、心のこもらない返事を返した。
 しかしそんな声音に気付かないようで、原田はしゃべり続ける。

『うん。まあ、いつの間にか逃げちまったんだけど』
「逃げちゃったのか」
『ああ、そうなんだよ。周り人いっぱいいたのにな。いつの間に逃げたんだろうな?』
「さーなァ。全員がちょっと目を離した隙なんだろうな」
『だろうなァ』

 やっと双眼鏡を見つけ、俺は拾い上げる。
 そろそろ話を切ろうかと思い、それなら最後にちゃんと聞いてやろうと、こちらから問いかけてやった。

「んで?何が逃げたの?」
『ああ、犬だよ』
「はァ?犬ゥ?」

 思わず頓狂な声を上げてしまい、電話の向こうからうるせえ!と怒られた。
 犬?沖田隊長が、犬?

「あ、ゴメン。…犬?沖田隊長が拾ってきたの?」
『おう。アレなんだけどな。例の万屋んトコのでかい白い犬』
「ああ、定春だっけ」
『名前なんか知らねえよ。あと、それちっこくしたような、ちびっこい白いの』
「ちびっこい白いの?」
『両手で抱えられるほどちっさいんだぜ。もう野郎ども、キャワユイ!!って大騒ぎでよー』
「あはは」

 隊服を着たゴツい男たちが小さな白い生き物に群がってキャワユイ!!を連発する情景を想像して、思わず俺は笑った。だって、あまりにも似合わなすぎる。

「で、定春とちっちゃい犬は逃げちゃったのか」
『ああ。ま、しょうがないよな。副長が』
「………副長が?」

 ふいに胸に痛みが走る。
 張り込みの任務が始まってしまえば、暫くは会えないその人の名前。
 その人が、自分のいない場所で楽しく過ごしている姿を、自分ではない誰かが見ているという事実。
 何だか少し悲しくなった。

『ああ、副長がよ』

 だけどそれを、声には出さないようにする。
 演技ならば、得意だ。

『そのちっこいのを、警察犬として仕込もうとしてよ』
「警察犬」
『ああ、そうなんだよ。最初はあの人、捨ててこいって言ってたんだけどよ。そのちっこいの抱き上げて目ェ合った瞬間、コロっと意見変えてやんの』

 あの変わり身はお前に見せたかったぜ山崎、と、思い出し笑いなのか原田は豪快にがははと笑った。

「似合わないね。あの人と小さくてかわいい犬なんか」
『そうか?瞳孔開いたギンギンの目とちっちゃくてつぶらな瞳のコンボは笑えたぞ』
「ああ、そういうことじゃなくて…まあいいや。で?」

 警察犬として仕込もうとしたんだろ、と先を急かせば、ああそうだったと原田は答えた。

『警察犬は鼻が命、とか言い出してよ、嗅ぎ分けのテストなんか始めたわけだよ』
「嗅ぎ分けのテスト?」

 また挟まるのは、原田の爆笑。

『それがよー、また爆笑モンなんだけど、ハーフだとかノンオイルだとかマスタード入りだとか』
「ああ、全部マヨネーズだったんだ」
『そのとおり!笑えんだろ』
「で?ちっこいのどうしたわけ?」
『わかるわけ無いだろ!適当に何かんトコ行ったら、副長、ハズレだけどいい所ついてるとか言い出してよ』

 なんとなく、その情景が想像できた。
 周りにギャラリー、その真ん中に小さい犬と、目付きが悪い副長。
 はらはら見守るギャラリーを尻目に、獣らしく適当にふんふんマヨネーズを嗅ぎまわる犬、その動きを瞳孔の開いた目で追う副長。

「いい所ねェ…。どうせ、あの人の好きなクォーターかなんか選んだんでしょ」
『何だよ、よくわかったな』

 さすが監察、と原田は言った。
 そんな理由じゃないんだけどな、と俺は思う。
 思っただけで、口には出さなかったけれど。
 その後も原田は色々としゃべっていたけれど、犬の話以上に俺の気を引く話はもうなさそうだった。
 そうしているうちに、ふと原田が声音を買える。

『…おっと、もうこんな時間か。俺、夕方の見回り当番なんだわ。これ以上話ししてる暇ねェわ』
「バカ原田。長話してんのはそっちだろ。俺ずっと任務の真っ最中」

 がはは、と原田は電話の向こうで笑って、じゃあな、頑張れよ、と言った。
 俺も、原田こそ、と返して、電話は切れる。
 しばらく切れた電話を見つめた後、俺はぽつりと声に出した。

「………犬かァ」

 何だよ良くわかったな、なんて言われたって、知っているものは知っている。
 あの人の好みも、今日みたいな暑い陽気ならあの人はさわやかなノンオイルを使いたがるだろうなんてことも。

 拾ってきた沖田隊長やかわいいと喜んだ隊士たちには悪いけれど、俺は、そんな子犬逃げてくれて良かったと思った。
 あの人に、捨てるのを惜しがらせるような子犬なんて。
 あの人の好みを、偶然にでも選べるような子犬なんて。

「………だって、俺がいるもの」

 捨てるのを惜しがられたことなんてないけれど、毎日理不尽に殴られたり無茶な命令ばかりされるけれど。
 それでもそんな子犬なんかよりあの人のことを理解して、信頼して、愛しているのが俺だ。
 あの人の敵を探り当てる役目も、あの人の敵に噛み付く役目も、譲りたくなんか無い。

 早く、この任務を終わらせようと思う。
 そうして、その終わりの日に彼がきっと望んでいるマヨネーズを買って帰るのだ。
 そんな、かわいいだけの子犬なんかよりも、俺の方がずっと役に立つことを示すために。





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山崎が今週もいなかったのでそろそろ妄想するしか。

土山思考的に、山崎は副長の犬でいてほしいので、
ちっさい犬にすら嫉妬しまくればいいなあと思って
こんな話に。

犬のいる屯所のお話も見てみたいけどね!

色々文章とかオチとか破綻してるので、そのうち書き直したい。
読みなおしてすらいないや。すみません。
とりあえずはスピード優先で突撃してみた。


それとは全く別に、
久しぶりの定春の出番で嬉しかったわけで。
来週はどうなるのでしょね!

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