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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

【Fate/Zero】優雅に着こなせないはなし

【Fate/Zero】ギル→時←綺

クリスマスといったらサンタさん。サンタさんと言ったら…

※クリスマスなのでとりあえず時臣受
※香る程度の、むくわれない金→剣を含みます
※キャラクター大崩壊。むっつりギル様、オープン綺礼、ネジ弛み過ぎ時臣
※優雅な女装に注意

※ゼロカフェ時空。多分。












「というわけでアーチャーのマスター。貴方にサンタ役をお願いしたいのですが」
「請けるな? 請けるよなァ時臣? 我のセイバーたっての頼みだぞ。請けねばどうなるかはわかっているよなァ?」
「断じてお前のセイバーなどではないが。――しかし、請けてもらえると嬉しい」
「ハッハッハ!照れるな照れるな。お前の気持ちは十分にわかっているからな!」
「そうかアーチャー。ならば私のお前に抱くこの苛立ちも十分に伝わっていることを願うぞ」
「ほう? それは我がなかなかお前に手を出さぬことに対する苛立ちか?」
「……とりあえず、アーチャーのマスター。頼みを引き受けてくれますか?」

少々疲れ気味だが真摯な瞳を向けられ、時臣は、さてなんと答えるべきかと考え込んだ。





事の起こりは数分前。普段出歩いたりふらふらしたり遊びまわっていたりしてばかりでなかなか帰ってこないギルガメッシュが、大変珍しいことに真っ昼間に帰ってきたのだ。それも、さらに珍しいことにセイバーを連れて。
何やらお前に依頼があるそうだぞ請けろ、と、彼はセイバーを時臣に引き合わせる。
そして伝えられたのが、ゼロカフェで行われるという子供向けイベント、クリスマスパーティーの開催についてだったのであった。
時臣への依頼というのは、そのイベントの中で子供たちにプレゼントを渡すサンタ役を引き受けてほしいというものだった。
面倒だとは思ったが、どうやら凛にも客としての招待状を送っているらしい。それならば父として良い所を見せねばと、時臣は最終的にそれを請けることにした。
その瞬間ギルガメッシュが、時臣を紹介した礼を頂こうとセイバーに迫り返り討ちにされたのは言うまでもない。

「ありがとうございます、アーチャーのマスター!」

それでは夕方にカフェへ来てください、と。
地面にたたきつけられて微動だにしないギルガメッシュには目もくれず、セイバーは去っていった。






「引き受けたのですか?」
「ああ。凛と葵も誘っているそうだからね。家族だけのパーティも良いが、たまには賑やかなのも良いだろう」
「綺礼、お前にもオファーが来ているぞ。赤鼻のトナカイ役だ」

その日の午後のお茶の時間。
律儀に訪ねてきた綺礼を交え、四角い机の三辺を囲んで三人は歓談していた。

「トナカイ……、ふむ、つまりサンタに乗ってもらえるということか……」
「それはソリだろ」
「!! ならば私はソリ役を志願しよう」
「あるか。何『ひらめいた!』という顔をしているんだ。通報するぞ」

紅茶は香りの高いアールグレイで、茶請けは葵のお手製マドレーヌ。
ギルガメッシュと綺礼の会話がよくわからない時臣は曖昧な笑みを浮かべながら、そのバターの香りを楽しんでいた。

「役がなくても問題はない。ソリの備品はカフェにあるのか?」
「それを聞いてどうする?まさか壊しに行くとでも言うのか?」
「……」
「言うのか!やめろ、我がセイバーに怒られる!」
「それは別に構わないが」
「構え!大体ソリの備品などないわ。サンタとトナカイが登場してプレゼントを配るだけの出し物だ!」
「備品と言えば、王」

ふと思いついたので、時臣は徐々にヒートアップしていく二人の会話に割り込んだ。

「サンタ役を引き受けるのは良いのですが、私は衣装を持っていません。そういうものは、貸し出して頂けるのですか?」
「セイバーは用意する気でいたようだが……」

そこでギルガメッシュは一旦セリフを切り、時臣を上から下まで眺め回した。

「……そうだな。我が選んでやっても良いぞ」
「はぁ……」

にたり、という笑みには嫌な予感しかいない。
――ヤブをつついて蛇を出す。
そんなことわざが時臣の脳裏を駆け巡った。

「綺礼。お前は時臣にどんな服が似合うと思う?」
「ふむ……。脳裏では常に様々な衣装を着て頂いているのだがな。いざ選ぶとなると……」
「……??」

ふいに綺礼を呼んだギルガメッシュは、顔を付きあわせてなにか相談している。
ちらちらと向けられる視線に少し居心地が悪く、時臣は冷え始めた紅茶に集中することにした。

「大きなリボンのついたポンチョはどうだ。大きめのミトンと合わせると大層愛らしいぞ」
「愛らしさより師に似合うのは妖艶さだ。スリットの入ったミニスカートと網タイツはないのか」
「それは流石に寒かろう! ……いや待て、ミニスカか……」
「ほう?」
「ワンピースタイプの物ならいいものを見かけたな。裾にファーのついた可愛らしい……」
「だから可愛さよりも妖艶さだと言っているだろう」
「いいや、俗世を知らぬ奴には無垢な衣装が似合うものよ」
「……」

何だか不穏な会話が聞こえているような気もするが、時臣は出来る限り目をそらして空になったカップへ自分で茶を継ぎ足した。

「ええい埒が明かぬわ。どうせなら全て着せてみて、それから選ぶというのはどうだ?」
「なるほど、それは良いアイディアだ」
「綺礼、アサシンを呼べ。金は我が出す」
「随分と太っ腹ではないか、ギルガメッシュよ」
「ふふん。我は愉しいと思うことにつぎ込む金はケチらんと決めておるのだ」
「なるほど、お前らしい。――アサシン」

中空に向かって語りかければ、ふ、と空間が歪んだ。
現れたのは黒装束と髑髏面を纏う暗殺者の女だ。

「お呼びですか、マスター」
「聞いていたとおりだ。街の雑貨屋を周り、できるだけバリエーション多くのサンタ服を購入してこい」
「えっ……サンタ服、ですか?」
「選出は私が行う。適当な店についたらパスを通じて合図をしろ。視覚共有を行う」
「はぁ……いえ、承知いたしました」

異世界語の会話の中で唯一判る単語を見つけ、時臣が振り返る。

「よくわからないけれど、余り魔術を私的なことに使ってはいけないよ、綺礼」
「ええ、私的なことではございません。私とアーチャーの命にも関わってきますので」
「そうなのかい……? ならばいいのだが」

が、肝心な部分には気付かぬままに会話は終わってしまった。

「それでは行って参ります」
「ああ。頼んだぞ」
「お任せ下さい、マスター」

現れた時と同じように、ふ、と黒い暗殺者の気配は空に溶ける。

「――さて、後は待つだけだな」
「ふふ……、楽しみにしていてくださいね、時臣師」
「余り私が楽しい予感はしないがね……?」

先程は三辺に分かれて座っていたはずの綺礼とギルガメッシュが、まるで逃さないとでも言うかのように時臣を挟んで腰を下ろしてくる。
時臣は両側から肩を抱き寄せたり腰に回されようとする手をさり気なくけん制するしかなく、どうやら穏やかなティータイムは終わりを告げてしまったらしかった。





数十分の後、女アサシンが大量の服を抱えて帰ってくる。
あの風貌でどうやって店に入り、そして購入をしたのかは、ついぞ語られることがなかった。





そこから、時臣コスプレ大会が始まる。
用意された衣装の中から、目ざとく好みの衣装を見つけたギルガメッシュがまずはそれを時臣に押し付けた。
ポンチョにワンピース。そして頭には大きな三角帽子。胸元に大きなリボンの付いたそれはかわいらしく、そして見るからに暖かそうだった。すべての色は鮮やかな赤だが、襟ぐりや裾に取り付けられたボアが可愛らしさを引き立てていた。

「良し、その場で回ってみろ」
「回る? こうですか?」

右足を軸にくるりと一回転。ボアの付いたやわらかなスカートがひらりと踊る。

「愛いぞ時臣ィ……!!」
「だっ大丈夫ですか王!?鼻から血が!」
「アホガメッシュは置いておいて。師よ、次はこちらなどいかがでしょうか」

続いては綺礼がもっと布の少ない衣装を渡す。
そこかしこに白いフェイクファーが取り付けられてはいたが、赤いミニスカートと黒いニーハイソックスという組み合わせは父によく似た娘の姿を思い起こす。彼女に似合うその衣服は、もちろん彼女によく似た父にも何故か似合っていた。

「これは少し……寒いね」

むき出しになった太腿を抑え、時臣がぎこちなく笑う。

「寒いならば温めて差し上げましょうさあどうぞ私の胸に」
「え、ええと」
「やめろこらやめろ綺礼。時臣が困っておるだろうが」

そんな時臣へと両手を広げずんずんと近づいていく綺礼の首根っこを掴んだのはギルガメッシュであった。どうやら鼻血は止まったようである。

「困った師もまた……いい」
「ああ、それは否定せぬが。が、節度はわきまえよ」
「お前が言える義理か」
「ふん。時臣がこれ以上着替えてくれなくなったらどうするのだ」
「!! それは困る!」
「まだこんな衣装もあるのだぞ~?」
「おお……、これは罪深い……!!」
「こんなのもあるぞ? ほーれどうだ、これを着た時臣を見ずには終われんだろう?」
「なんと……!!主よ!!」

山と積まれた衣装からギルガメッシュがやけにふりふりしたものや嫌に布面積の少ないものをぴらりと取り出す。それに綺礼が一喜一憂――というか、一喜一喜というか――する。
そんな風に楽しそうにはしゃぐ二人を眺める、冷たい視線が一つ。

「………………」

もちろん、未だミニスカサンタ服を着せられたままの時臣である。

「……アサシン、いるかい」
「は、ここに」

中空に向かって呼びかければ、現れる髑髏面の女。

「君はカフェの店員だったね。パーティの為の衣装があるかどうかは知っているかい?」
「もちろんです。サンタもトナカイも向こうで準備済みですよ」
「ならばこんな茶番は不要だね。……しかし、それはもっと早くに教えてもらいたかったな」
「マスターの命令では、逆らえませんでしたので……」
「……ああ、そうだな。すまなかった」

さて、ではそろそろ着替えて出かけようか、と時臣はアサシンに微笑みかける。

「あの二人が落ち着くのを待っていたら遅刻してしまう」
「そうですね。……しかし、マスターがあんなに楽しそうなのは初めて見ました」
「そうだね。私もあまり見たことがないよ。英雄王と気が合うのだろうね」

それはどこか違う気がするが、とアサシン――アサ子は言わない。
言えば、それは何故だろうなどと時臣に聞かれ、会話がおかしい方へ向かってしまい面倒なことになるだろうことは想像にがたくないからだ。
代わりにアサ子も微笑みを返す――もちろん、仮面をしているからその目元は見えないのだが。

「時臣様、それならば私達も余り者同士として気が合うということにしてはいかがでしょう?」
「おや! 少し寂しい理由ではあるが、なかなか良いね」

それでは同伴をお願いしても良いかな?といたずらっぽく差し出された手を、アサ子も笑顔で取った。





どんな衣装の組み合わせが時臣に似合うかで白熱の議論を交わし、それから二時間。
はっと気付いた時には、既に時臣はいなかった。
ついでにアサシンもいない。
綺礼がパスをつないで念話で彼女へと語りかければ、時臣様とそのご家族の方々と一緒にパーティを楽しんでいるところですよといつになく浮かれた声が帰ってきて。

「ああ、もう既に時臣様のサンタパフォーマンスは終わってしまいましたよ。そりを引くトナカイ役はザイードと私で行いました。子供たちに囲まれにこにこしている時臣様はとても優しげで麗しかったです。ちなみに、衣装はこちらで用意したものを着用して頂きました。ファーの付いたスーツ型の衣装で、酷く似合っておりましたよ。もしマスターがいたのならば絞られた腰が色っぽいとでも仰ったのでしょうね」

上機嫌な声に綺礼はぐぬぬと返すことしか出来ない。
いや、今からでもきっと間に合う、行くぞ綺礼!そう叫ぶやいなや、ギルガメッシュが飛び出した。
綺礼もその後を追う。
遠坂邸から飛び出せば、そこは冬の色。
重たい灰色の空から、はらはらと小さな白いかけらが落ち始めたところだった。











時臣師にミニスカサンタ着せたかっただけの煩悩。
あと時臣愛され話を最近書いてなかったなと思って。

わかってる…キャラ崩壊だってことはわかってるよ…

途中まではセクハラ祭りにしようと思ってたんだけど、
段々煩悩がとまんなくなってきたのでアサ子オチにした。
時臣とアサ子コンビってとってもアダルトで好き。




で、折角書いたセクハラ祭りも勿体無いので一応下に置いておくテスト。
女装した時臣師に愉悦部がセクハラするだけですのでご注意。
オチはあんまりない。勢いに流されちゃう時臣師かわいい。
一応朝チュンレベルの描写注意。










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数十分の後、女アサシンが大量の服を抱えて帰ってくる。
あの風貌でどうやって店に入り、そして購入をしたのかは、ついぞ語られることがなかった。



「愛らしいッッ!!これは良いものだ……!」
「なるほど……天使というものがもしもいるのならば、こういう姿をしているものなのでしょうね……」
「綺礼……、君のその言葉、聖職者として言ってはいけないことだと思うよ……?」

そして、時臣コスプレ大会が幕を開ける。
アサシンは綺礼の命令を忠実に守った。サンタの衣装が売っていそうな店を巡りに巡り、バリエーションに飛んだ様々な衣装を買ってきたのだ。
もちろん選ぶ際にはマスターとの視覚共有を有効的に使用し、そして金は惜しまず。
そのかいあって、集めた衣装は50枚にも及ぶほどだった。

「こんな衣装が、一体何の役に立つっていうんだ……」

今時臣が着せられているのは、ギルガメッシュに勧められた一枚だった。
裾がふわりと広がったワンピースと二の腕まである長い手袋の上に厚い生地で出来たポンチョを羽織り、その胸元を大きなリボンで止めている。足は黒いタイツで覆われ、ぶかっとした形のブーツがよく似合うファッションだ。――もちろん、一般的には女性が着れば、の話であるが。
そう、どう考えてもそれは女性用の衣服である。
タイツを履いているとはいえ、すーすーする足元がなんだか頼りない。

「良し、時臣、その場で回ってみろ?」
「回る? こうですか?」

右足を軸にくるりと一回転すれば、柔らかい素材のスカートがふわりと広がる。
隠されていた、タイツに包まれている膝がちらりと覗くさまを、ギルガメッシュは脳裏のアルバムに焼き付けた。
となりの綺礼もうんうんと強く頷いている。

「次はポンチョの前を少し引き下げろ」
「こうです――ヒィッ!?」

ギルガメッシュの命令を素直に聞いた時臣に与えられたご褒美は、その引き下げたポンチョとワンピースの襟ぐりから手を突っ込まれるというセクハラであった。
しかも時臣が驚きに真っ白になっている間に、その手は不埒にも胸を鷲掴む。
その刺激に驚いて悲鳴を上げ、慌てて身を引けば、にやにやとした顔のギルガメッシュがそこにいた。

「そ、そういうのやめてくだ――」
「師よ、次はこれをお召しになってくださいますか」

ギルガメッシュとの会話が終わっていないと突き放そうとするも、それならばと綺礼は服を脱がしにかかってくる。

「わ、わかった!着るから!」
「そうですか、ありがとうございます」

仕方なく受け取るが、これもやはり布が少ない。
おそらくはまた女モノなのだろうとため息を付き、時臣は洗面所にこもった。



次の衣装はもっとひどかった。
チューブトップ型のワンピースタイプなのだが、この丈が大変短い。ギリギリ下着が見えない程度なのである(余談ではあるが、今日の時臣のパンツは黒のボクサーである)。ボディコンと言っても過言ではない丈だ。それに光沢の有る黒いニーハイソックスとブーツを合わせた衣装だった。
その姿で時臣が二人の前に戻ると、彼らは同時にガッツポーズをしたのであった。

「これは………………………………………………なかなか良いな」
「そうだろう。きわどい衣装も師には良く似合う」
「いや、絶対おかしいよねこれ」

足を前に出せばスカートがめくれそうで、時臣は棒立ちでいることしか出来ない。
綺礼はそんな時臣をじっくりと眺めた後、ふむ、と頷いた。

「師よ」
「な、なんだい」

無表情のままつかつかと近づいてくる弟子から、スカートを気にする時臣は距離を取ることが出来ない。
そして目前まで近づいた綺礼は。

「えい」
「!?」

おもむろに自身の手を、時臣の両ももの間に突っ込んだ。
ニーハイソックスに包まれているところを避け、律儀にも素肌がむき出しになっている場所に。
鍛えても柔らかい内腿の肉が、ぎゅうっと綺礼の手のひらを挟み込む。

「へ? ……あ、え?」

混乱に包まれる時臣は、あまりの事態に抵抗すら忘れたようだった。綺礼の手と顔をあわあわと見比べるが、それ以上の行動にならない。
そんな時臣へにっこりと慈悲深い笑みをかけながら、綺礼はその手を、ゆっくりと上へ――

「それはずるいであろう綺礼!」

それを止めたのはギルガメッシュであった。
怒りに震える彼は、おそらく先ほど自分が働いたセクハラのことを忘れているに違いない。

「王っ」
「ええい離れよ!!」

掴んだ綺礼の腕を、力任せに時臣の両足の間から引き抜く。
が、それに素直に応じる綺礼ではなかった。最後のあがきとばかりにニーハイソックスの縁を摘んだのである。
そのまま離れ行く手が指を離せばどうなるか。
答えは簡単。縁に編み込まれた強めのゴムが、つまんで引かれた分の伸びを縮め、パチンと大きな音を立てたのであった。
驚いた時臣の体がびくんと跳ねる。

「……ほう。」
「ふむ。」
「痛……、何をするんだい綺礼!」

ゴムパッチンされたところをさすりながら上目遣いで睨まれても全く怖くないものである。
むしろ少し前かがみになっている今、後ろから彼の姿を見ればおそらくスカートがまくれてその中が覗けるんじゃないだろうかなどと、睨みつけられている男二人はもやもやと思っているのであった。

「もうこの衣装は着替えるからな!」
「ならば次はこれだ、時臣!」
「その次は是非こちらを」
「や、ちょ」
「着替えるのが面倒ですか? ならばお手伝いしましょう」
「我も手伝ってやろう。なにせ我はお前のサーヴァントなのだからなァ?」

赤や白の衣装を手に迫ってくる二人の目が異様に血走っているのを見て、とうとう時臣は抵抗を諦めることにした。

もう洗面所に篭もらせてもらう隙もなく、二人が入れ代わり立ち代わり時臣の服を着替えさせていく。
フリンジだらけのスカートをコルセットで締める衣装だとか、ぴっちりとしたエナメル質でベルトが多くついた衣装だとか、挙句の果てにはビキニの上に厚ぼったいマントを羽織っただけのものや、つなぎ風のダボッとした衣装を裸の上に着させられたり。
服を変える度にギルガメッシュと綺礼は限りなくセクハラじみた奇行に走り、時臣の精神はすり減っていく。
最終的に時臣の格好は、胸丈までしかないシャツと尻に食い込むほどのホットパンツ、縁にボアの付いたニーハイソックスの上に紐で締め上げたロングブーツ、そしてなけなしのクリスマス感を演出する三角帽子……と、既に何を目的としていたのかわからないものになっていた。
ちなみにシャツは白でパンツと帽子は赤、ニーハイソックスは黒、ブーツは茶色である。

「…………」
「…………」
「…………」

集う三者はそれぞれ違う理由を抱いて黙り込んだ。
一人はもちろん羞恥に。
一人はその色香に悶絶し。
そして一人は神への感謝を込め。

「…………」
「…………」
「…………もう、着替えていいですか」
「ダメだ」
「ダメです」

沈黙に耐え切れず漏らしたか細い声は、同時に発せられた二つの声に即座に否定される。
はあ、と時臣は肩を落とす。

「一体、これの何が楽しいのですか。もうそろそろ着替えないと、パーティに間に合わなくなってしまいますよ」
「――ふむ、そうだな。遅刻すればセイバーに怒られてしまうやもしれぬし……」

以外なことに、愚痴じみたそんな言葉は聞き咎められた。
ギルガメッシュが顎に手を当てて何かを思案するような顔をし、

「綺礼」
「何だ」
「続きはまた後にするか」
「仕方ない、そうするとしようか」
「えっ」
「良し、では着替えてこい、時臣。とりあえずゼロカフェへ向かうぞ」
「パーティが終わったら、続きをしましょうね」
「つ、続きって……」
「まだこれだけ衣装はあるのだぞ? よもや、用意した我の心遣いを無駄にする気ではあるまいな?」
「え、えぇ~~……」

王に言われては嫌というわけにも行かない。
隣で見たこともないほどにこにこしている綺礼にも嫌な予感しかしなかったが、結局時臣は、はい、と頷いてしまったのであった。



そして、パーティもつつがなく終わり――余談ではあるがサンタ衣装はカフェ側で用意されたため、時臣はギルガメッシュが選んだふりふりふわふわの愛らしい衣装を人前で着用せずに済んだのであった。――、その夜。

「さあ、時臣」
「英雄王と約束をしたのでしょう、師よ?」

衣装を手にじりじりと迫り寄るギルガメッシュと綺礼から逃げ切ることの出来なかった時臣は、言われるがままに着替えたり脱いだりさせられ。
衣装はどんどん過激になり、そのうちにムラムラしてきた二人に押し倒され、最終的にはその衣装すらも奪われ。

――その後一体彼がどんなことをさせられたのかは、彼らのみが知る秘密である。

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