五人旅 幻水 2008年05月11日 僕は今日から旅に出るよ。幻水1 坊ちゃんとその他 x x x風が吹く。風が吹く。さらさらと音を立てて古い時代を吹き飛ばしていく。「終わったんだね」(そうね)(そうだな)(ああ)「もう、平和なんだ」(そうね)(そうだな)(ああ)「もう、僕はここにはいらないんだね」(…)(…)(…)「もう、僕はここにはいられないんだね」(…)(…)(…)汚れた袋におくすりをいっぱいつめていこう。もうまたたきの手鏡もいらないな、ここへ帰ることはないから。紋章の類も要らないね。棍さえあれば十分だ。要らないものは全て置いていこう。大事な思い出と仲間たちと共に。この右手で、彼女と親友と父だけを連れて行こう。「坊ちゃん、用意は出来ましたか?」「うん」後ろからかけられた声。振り向かず答える。誰かが僕の隣に立って、同じように帝都を見下ろす。「もう帰ってこられないんですね」「お前は残ったっていいんだぞ?」「何を言いますか。駄目と言われてもこのグレミオ、地獄の果てまでご一緒させて頂きますよ」お堅い彼の口からそんな冗談が出たので、僕は笑った。彼も笑った。笑いすぎて涙が出た。「さ、行こうか」(もういいの?)(もういいのかい?)(もういいのか?)「僕の右手を見てみなよ、ここに何がある?」(あなたを護る力であり、あなたを苦しめる力)(俺と俺の親友とその周りの命を食らう悲しみ)(俺の息子を苦しめる悪意)「さあ、これでも僕がここにいられるとでも?」(私を連れて行きなさい)(俺を連れて行けよ)(俺を連れて行くといい)「ありがとう、僕はもう寂しくないよ」右手に彼女と親友と父を連れて行こう。左手で汚れた荷物を持とう。棍は腰に差しておこう。もう誰も喰らわぬよう、大事な人たちを置いていこう。「ただ一人、お前だけを連れて行くよ」「ありがとうございます。 この命、何度喰らわれようともあなたに捧げます」風が吹く。風が吹く。最後にもう一度だけ、今日限り帝都でなくなったそれを見下ろし、僕と彼らは旅立った。x x x書きたいことが書けなかったけれども、試験的にオデッサも混ぜてみました。やっぱり、オデッサはオデッサで、別に扱った方がいいとわかりました。坊ちゃんはいつも皆と、グレミオと一緒だよ。ということで、終わりのない旅に出るわけです、彼らは。…でも、2でおうち戻ってるよね坊ちゃん!!全然関係ないけど、坊ちゃんは、一瞬だけオデッサに恋していればいいと思う。だけどすぐに失ってしまって、少し経ってからこの紋章のせいだと気づいて、そしてもう恋など出来なくなってしまったならいいと思う。…そんなブラック坊ちゃんも素敵だとふと思った。 PR