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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

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守る人

俺が強くなる理由。マッシュとバルガス。あと兄貴。


x x x

普通の兄弟は、兄が先に生まれるものだ。
だから、兄は弟を守るものなんだって言う。
だけど俺たちの場合はちょっと違ってて、先に生まれたのが弟だった。
だから、俺は兄貴を守らなきゃいけなかったのに。

いつだって守られるのは俺の方で。



「熱心だな、マッシュ」
そこに立っていたのは、同じ師匠に師事する兄弟子のバルガスだった。
マッシュにタオルを投げかけ、半ば呆れた口調でそう言った。
もう日暮れ近く。とっくに今日の修行メニューは終了し、師匠も彼も帰っていたはずである。
しかしマッシュだけはそこに残り、修行の続きをしていたのだ。
「そろそろ夕飯だってよ」
早く帰って来い、ということだろう。
マッシュは疲れきった体をゆっくりと起こした。
バルガスはそんなマッシュの様子を呆れたように見ている。
「…師匠も喜んでるぜ、お前みたいな熱心な弟子ができたんだからよ」
「…そうかな」
受け取ったタオルで顔を拭い、マッシュはそう言った。
その言葉に、バルガスは不愉快そうに鼻を鳴らす。
この兄弟子は、自分よりも熱心な弟子が、師匠に目にかけられるのが不満でならないらしい。
気付いていながら、しかしマッシュは彼に遠慮して、修行の手を抜こうとは思わない。
「ただ、強くなりたいだけだよ。一日でも早くね」
「何でだ?」
「大事な…守りたい人がいるんだ」
「…へぇ」
マッシュの返事に、バルガスが小ばかにしたように口元をゆがめた。
お人よしの世間知らずめ、とでも思っているのだろう。
だが、誰がどう思おうとも知るものか。
自分が強くなりたい理由の意味を、誰もわかってくれなくてもかまわない。
きっと、ただ一人だけは理解してくれるのだから。
「…さ、戻ろう、バルガス。腹も減ったしね」
「それはずっとこんな所にいたお前が悪いんだろう」
「ま、そうだけどさ」
立ち上がって、西の空を眺めた。
赤い夕陽が、遠く山と黄金の海を染めていた。
(いつか強くなって、俺、帰るから)
それまで待っててくれよ、と小さく呟いた。



自由を選んだのは強くなりたかったから。
絶対に追いつけるわけがない兄貴の強さに少しでも追いつきたかったから。
力を手に入れればその遠さは、少しは埋まる気がして。
(そうさ、同じ「強さ」を手に入れる必要なんかない)
俺は、俺のやり方で力を手に入れるんだ。

それも全て、あの人を守るために。



x x x

マッシュと兄貴と、ほんの少しライバル。
ところで双子って後に生まれた方が兄(姉)って
あってますよ ね…?

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