偶然と運命と必然と二人 FF6 2008年06月09日 たまには、戦いも忘れて二人で。 ロックとセリス。 x x xセッツァーが、飛空挺の整備をしたいといって全員を飛空挺から追い出した。エドガーはエンジンが見たいと言って残り、兄貴が残るなら俺もとマッシュも続いた。リルムは新しい絵の具が欲しいと言ってストラゴスを連れて町に行くことにし、やることもないからとカイエンとガウがそれに続いた。シャドウはいつも通り何処かに消えようとしていたが、リルムに引っ張られ、町に行くことになった。モグとウーマロは町に出るわけにも行かず、ゴゴと共に近くの原っぱで日向ぼっこをするという。陽の光を浴びてふかふかになったモグが気になったので、ティナも残ると言い出した。結果的に、ロックとセリスだけが、特に予定もなく、取り残された。二人ぼっち。飛空挺のラウンジのソファで、特に会話もなく並んで座っている。「…さて、どうしようか」先に口を開いたのはロックだった。飛空挺の整備は、まだまだ時間がかかるという。このままぼぉっとしているのもつまらない。「私たちも、リルムたちと町へ行けばよかったわね」「そうだな」でも、まあいいか、とロックは頭の後ろで手を組んで、背もたれに体重を預ける。「たまには、こんなのんびりしたのもいいかもなあ」セリスはコクリと頷いて、両手を膝の上でそろえたまま、同じように背もたれに寄りかかった。エンジンの様子でも見ているのか、低いモーター音だけが静かに響いている。セッツァーたちの会話が聞こえるかと耳を済ませてみたが、分厚い壁のせいか、何も聞こえなかった。ロックは、丸いガラスの嵌め殺しの窓から外を見る。真っ青に晴れた空だった。白い鳥が1羽、2羽、その空を横切って飛んでいくのが見えた。(ああ、平和だ)そう思う。しかしこの青空の下のどこかには高い高い、瓦礫の塔が聳え立っていて、その中にあの悲しき道化師がいるのだ。…戦いは、まだ終わっては…いや、始まってすらいない。「…どうしたの、ロック?」「へ、え?」自分を覗き込んでいる目に気づき、ロックは慌てた。空より海に似た、セリスの青の瞳。透ける様な細い金の髪。陶磁器のような白い肌。そんなものがすぐ目の前にあって、ロックは思わず目をそらした。そうしたら今度は、ぴっちりとした衣装に包まれた足が視界に入った。「いや…整備、終わんねえなあと思ってさ」「そうね…。やっぱり、町へ行く?」「いや、今から行っても、戻ってこれなくなったら面倒だ」もう、そこまで時間はかからなくても、町に行ってぶらぶらして、また戻ってくるだけの時間はないだろう。ロックの目に、ふとポーカー台の上のカードが止まった。「そうだ、ゲームしないか」「ゲーム?」「この…カードからさ」そう言いながらロックはカードを手に取る。4つの記号と13種類の数字の書かれたカード。何の代わりにも使えるジョーカーの2枚を加えた、53枚のカードだ。「適当に一枚ずつ引いて、大きな数字が出たほうが勝ち」「何だか簡単そうね」「んじゃ、負けたほうが勝った方の言うことを、何でも聞くこと!」「ええっ!?」セリスが困ったように声を上げるが、ロックはこの素晴らしい思いつきに一人満足し、さっさとカードを引いてしまった。「さ、セリス」「うーん…わかったわ」少し悩んでから、セリスは一枚のカードを引いた。「じゃ、せーので同時に開けるぞ」「ええ」「せーのっ」同時にカードをひっくり返す。二人のカードの目は…「不思議、こういうこともあるのね」セリスが驚いたように目を見張ったのも無理はない。二人の手には、まったく同じカード。53枚のカードのうち、たった一組しかない同じカードの組み合わせ。すなわち、ジョーカーとジョーカー。「素晴らしい偶然ね」何か感心したように呟くセリスに、ロックはよほど運命さ、と言おうと思った。だが、いつもなら出てくる軽口も、たった二人、静かなこの部屋では特別な意味を持ちそうな気がして。ゆるゆると首を振り、ロックは微笑んだ。「よし、今回は引き分けだ。次のゲームと行こうぜ」「…ええ。今回は勝つわよ」「俺だって負けるものか!」一枚ずつのカードを引く。今度は、2枚のジョーカーはカードの外だ。さて、勝負の行方は如何様に。ただいま!とリルムの元気な声がする。ガウがそれに呼応するようにガウ!と一声上げた。大人たちは少し疲れたように、しかし楽しそうな表情でそのあとをゆっくり着いてくる。それを見つけたのか、モグを抱いたティナとウーマロ、ゴゴが立ち上がるのが見えた。タイミングよく、エンジン室からセッツァーと双子が上がってくる。皆がラウンジで見たのは、散らばったカードと、肩を寄せて転寝している二人の姿だった。戦いの真っ最中でもそんな幸せがあってもいいと、全員が思う。x x x初めてロクセリ。ロックの日に間に合わせたかったんだけどにゃーということで日付詐称してやれ。ロクセリは王道すぎて大好きだけど、ケフセリも好き。でもティナセリはもっと好き。そしてマエドは特別。 PR