片翼の天使 FF6 2008年03月15日 旅立つ俺と、見送るあなたと。マエド。 x x x元々は一つであるはずの魂が、どういうわけか二つの体を持って生まれた。それが自分たちだと、マッシュは思っている。同じ顔、同じ声、同じ体を持って生まれた二つの体は、最初のうちこそ同じ成長を遂げていたが、いつからか、段々と別のものになっていった。片方はより活発に、片方はより真面目に。互いの足りない所を補うようにして、二つは、寄り添うように生きてきた。それはまるで、片方ずつの翼を持った天使が、互いを庇いながら空を飛ぶように。その日までは。高く高く投げられたコインは、月光を撥ね返して石造りの床に落ちる。澄んだ音を立てて向けられた面は、表だったから。「・・・お前の、勝ちだな」背に生えていた片翼をもぎ取り、彼はマッシュに差し出したのだ。自分の代わりに世界を飛び回ってくれと。鮮血滴る背など痛くはないからと、微笑んで見せたのだ。そしてマッシュはそれを受け取ってしまった。彼が笑顔を見せてくれたから、その笑顔に答えなければいけないと悟った。何をどう答えればいいのかなんて分からない。だがしかし、そう、悟ってしまったのだ。その翼を、自由を、外に出る権利を、彼は無償で自分に譲ってくれてしまったのだから。「・・・俺が」「ん?」「俺が、兄貴の代わりに世界中を見てくる」「・・・」「兄貴の翼になるんだ、俺が」「・・・ああ」少し唐突過ぎたその台詞に、兄は、また笑顔を浮かべてくれた。今度は、痛さとか辛さとか関係ない、心からの笑顔だった。x x x片翼の天使=ゼノギアスネタ。ファティマ兄弟もいいよね。 PR