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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

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夜に繋がる世界。双子。


x x x

いくら地上の距離が遠く遠く離れようとも、お前の存在をふいに近くに感じるような気がして。


「久しぶりに夢を見たんだ」
と、エドガーは言った。
読んでいる本からは顔を上げず、まるで独り言のようだったが、神官長は耳を澄ます。
「昔の夢だよ。この城に、王子が二人いたころの話さ」
「おやまあ、それはまた懐かしい話を」
神官長は、ベッドを直しながら王の方を振り向いた。
「もう何年になりましたっけねぇ?あの方がこの城から出て行かれてから」
「10年だよ。…そう、そんなにも経ったのだねえ」
窓枠に肘をつき、読みかけの本から顔を上げる。
窓の外にはそっけない砂の海が広がっているだけだが、太陽は酷く明るい。
この、石造りの冷たい部屋の中とはずいぶん違うな、とエドガーは思った。
思っただけで、口には出さなかったが。



「久しぶりに夢を見たんだ」
と、マッシュは言った。
口に運ぶフォークの手は止めず、師匠の方へちらりと視線を送る。
「小さい時の夢さ。まだ、俺が別の暮らしをしていた頃の」
「かなり昔の話だな」
バルガスはマッシュの方を見ずに相槌を打った。ダンカンが問い返す。
「何年前だったか?お前が、俺の元に転がり込んできたのは」
「10年前。よく覚えているよ。…もう、そんなに経ったんだな」
食事の手を止め、小屋の窓から外を眺める。
遠く連なる山々、小さい頃に慣れ親しんだ砂の海は、まったく見えない。
あの、父親がいた部屋は今どうなっているのだろうとマッシュは考えた。
考えただけで、答えは思い浮かばなかったが。



「会いたいですか、マシアス様に?」
神官長の問いに、エドガーは微笑んで首を振った。
「いいや」
「何故です?」
夢に出るほど会いたいのでしょうと問われ、エドガーは笑みを苦笑に変えた。
「あいつがせっかく掴んだ自由を、誰が奪うことができる?」
彼は、自分の弟で一国の王子である前に、一人の人間なのだ。
「エドガー様…」
「会えるものなら会いたいが」
もう一度、窓の外を見た。変わらない砂の海。
「…夜になれば、また夢を見るさ」



「会いたいか、家族のものに?」
ダンカンの問いに、マッシュは微笑んで首を振った。
「いや、大丈夫だよ」
「何でだい?」
夢に出るほど会いたいんだろとバルガスに言われ、マッシュは困ったように頭をかいた。
「だってさ、せっかく…兄貴は、あのコインを投げてくれたんだ」
世界一大事な人が自分の犠牲になってくれた。それは、本当に幸せなことだから。
「マッシュ…」
「会えるなら会いたいけど」
ふ、とまた窓の外の青空を見上げる。
「…夜になれば、また夢を見るよ」


そしてまた繰り返し夢を見る。
子供のころの、自分がいて、彼がいて、父親がいたころの幸せな夢を。
それだけで、今は十分だった。
与えた愛を、与えられた愛を知っているからこそ。
元々ひとつだった魂は、永遠に別たれることはないのだから。



x x x

互いに互いが一番大事。

マッシュは自分がどこから来たのか、二人に話してないけど、
ダンカンはマッシュが王子だと微妙に気付いている感じで。

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