双子と言ってもそうは似ていないから。[後半:マッシュ編] FF6 2009年04月14日 嘘だよ、実は本気なんだ。 セツマ前半は[こちら] x x x「うおりゃあッ!」「うおっ!?」飛び掛ってきたその右ストレートを、とっさに銀色のオブジェで受ける。小箱やペンがガシャガシャと音を立てて飛び散った。右ストレートはオブジェをへこましたが、拳へのダメージはかなりのものだったらしい。セッツァーが、当たらなくて良かったと胸をなでおろす横で、盛大な悲鳴を上げた。「…ってェーー!!」「げ、起きやがったか」マッシュである。「良くもやりやがったな、このやろー!」「ぐーすか寝こけてる方が悪ィんだよ」「寝てる相手にこーいうもの乗っけるか普通!?」と、落ちた小箱を拾い上げ、げ、という顔をする。「うわ、これ兄貴が大事にしてる宝石箱じゃないか」「大事なものか?」「うーん、何かどっかの貴族から貰ったらしいけどさ、装飾が好きって…じゃねえよ!」話をそらされそうになったことに気づき、マッシュは首を振る。そして手に持った小箱を。「このやろー!」「これエドガーの大事なものじゃ…っうお!?」投げつけ、飛び掛ってきた。体格の差も体力の差もある。抵抗はしてみたものの、すぐに押さえつけられてしまった。セッツァーの肩を押さえつけ、マッシュはこぶしを固める。「覚悟しろよー!?」「ったく、いつから起きてたんだよ」「ほんのちょっと前だよっ」どうやら、ギリギリまで寝ていたらしい。本棚から物を落とした音で目を覚ましてしまったのだろうか。だとしたら、完全に油断が招いた失態だ。「ちょ、ちょっと待てって」「待たない!…って、うわ、こんなところまで」振り上げた手の甲の判子跡に、今はじめて気づいたようだった。「ぎゃー!このインク落ちねえんだぞー!?」慌ててこするが、インクは多少伸びても、綴りは消えない。「同じの、顔にも押しといたから」「な、何ィー!?」慌てて頬や額をこする。もちろんこちらも消えはしない。「クックック、俺の勝ちだな!」「てめえ、マジ何するんだよっ!」「いいじゃねえか、兄貴好きだろ」「好きだけどさーっ!…ああもうっ」ドサクサ紛れに告白し、ふと気づいたように机の上を見る。そして手を伸ばし、何かを掴み、そしてにやりと、セッツァーの方を見て笑った。「ん?何だ?」「お前も同じ目に合わせてやるー!」「うお、ちょっ」制止の声も聞かず、判子は無常にも額の真ん中に振り下ろされた。ぺたん、という軽い音と詰めたい感触。そのインクの落ちなさなら、自分もさっき試している。「あぁ…あ…」当分は残るだろう。そしてそれは同時に、当分笑い者とされることも示している。隠すためにはバンダナを巻くか?だがそんなものをつけたら、あのドロボウとかぶってしまう!ファッションを個性と考え大事にするセッツァーにとって、この攻撃はこぶしの一撃よりも答えたのであった。「へへん!これでお前も兄貴の物だからなー…って間違えた!?」「何を間違ったんだよ…」もう何かを答えるのも面倒になってセッツァーが聞く。「この判子、兄貴のじゃなくて俺の名前だ!」「どっちでもいいだろそんなの…」「良かねーよ!」マッシュが余りにもムキになって否定するので、セッツァーは目を開ける。「確かに、エドガーの部屋にお前の判子があるってのは妙な話だけどよ…」「俺はそんな話してるんじゃない!」一言で切り捨てられた。「だって、お前のデコに、俺の名前の判子押しちゃったんだぜ!?」「だから何だよ」「だから、俺、お前なんて要らないし!!」一瞬、セッツァーは言葉を失う。こいつは…マッシュは今何と言っている?名前を書いたら、書いた人のもの。自分の物には名前を書きましょう。「…ガキかてめえは」「うわー…俺こんな奴要らねえよー…」セッツァーが呟く横で、マッシュは本気で落ち込んでいる。そんな彼の姿を見て、セッツァーは。「…ふむ」面白いことを考え付いた表情で、ゆっくりと起き上がった。こんなことをされたのだ。…反撃くらいは許されるはずだもの。胸に手を当て深々と一礼して、一言。「それではご主人様。何なりとお申し付けくださいませ」出来得る限り一番の、とびっきり爽やかで好青年の笑顔を浮かべてみせる。マッシュは一瞬で飛びずさった。「キモい!!」「キモいとは?気持ちイイことをお望み、ということでしょうか?」「うわ、マ、マジでキモい!近づくな!触るなー!!」「はっはっは、何と言っても俺は貴方に記名されちゃいましたからね」「うわああっ!」言いつつ擦り寄ってくるセッツァーから、マッシュは必死に逃げる。もう、寝ている間にいたずらされた怒りすら消えてしまったようだ。「大丈夫、俺は満更でもねえぜ?お前が相手でも」じりじりと壁に追い詰め、その顔の横にドンと音を立てて手を突く。「俺が嫌だ!!」「いや、本当はエドガー狙ってたんだけどさ」「お前なんかに兄貴はやらねえ!」「うん、だからお前を代わりに」「嫌だー!!」立ちふさがるセッツァーに体当たりを一発、マッシュは部屋を飛び出した。「うお、外行くかあの顔で…?」一瞬呆然と呟いたセッツァーは、しかし、にやりと笑った。「まあいいか、こうなったらとことん遊んでやる…!」呟き、彼も駆け出した。図らずも額に記されてしまった、彼の所有者を追うために。そんなヤマもオチもイミもない追いかけっこは、部屋の主が帰ってくるまで城中を舞台に続けられた。部屋の主は当然、自分の手持ちのインクを落とすための洗料くらい持っていたので、セッツァーの手に入れた『王の弟の所有物』という権利は、ほんの数刻で消えてしまったのだった。xxxセツ*マ。セツマと言い張ってみるテスト。見かけたことがなかったので自家発電。…なんだこれ!!いや、見かけないはずだなあと自分で納得しました。ほっとけ。とりあえずオイラ的には、セツ>ロク>=マ>=エドで、手を出せない位置にカイエンさんとガウがいます。セッツァー最強伝説。何の話かって?ほっとけ。何かノリが伝勇伝のようになってしまった…執務室の攻防って。インクって。…フェリスポジションがいないなぁ(そこは問題ではない PR