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マイナー作品とかのションボリ二次創作を細々と。

双子と言ってもそうは似ていないから。[後半:マッシュ編]

嘘だよ、実は本気なんだ。 セツマ

前半は[こちら]



x x x

「うおりゃあッ!」
「うおっ!?」
飛び掛ってきたその右ストレートを、とっさに銀色のオブジェで受ける。
小箱やペンがガシャガシャと音を立てて飛び散った。
右ストレートはオブジェをへこましたが、拳へのダメージはかなりのものだったらしい。
セッツァーが、当たらなくて良かったと胸をなでおろす横で、盛大な悲鳴を上げた。
「…ってェーー!!」
「げ、起きやがったか」
マッシュである。
「良くもやりやがったな、このやろー!」
「ぐーすか寝こけてる方が悪ィんだよ」
「寝てる相手にこーいうもの乗っけるか普通!?」
と、落ちた小箱を拾い上げ、げ、という顔をする。
「うわ、これ兄貴が大事にしてる宝石箱じゃないか」
「大事なものか?」
「うーん、何かどっかの貴族から貰ったらしいけどさ、装飾が好きって…じゃねえよ!」
話をそらされそうになったことに気づき、マッシュは首を振る。
そして手に持った小箱を。
「このやろー!」
「これエドガーの大事なものじゃ…っうお!?」
投げつけ、飛び掛ってきた。
体格の差も体力の差もある。抵抗はしてみたものの、すぐに押さえつけられてしまった。
セッツァーの肩を押さえつけ、マッシュはこぶしを固める。
「覚悟しろよー!?」
「ったく、いつから起きてたんだよ」
「ほんのちょっと前だよっ」
どうやら、ギリギリまで寝ていたらしい。
本棚から物を落とした音で目を覚ましてしまったのだろうか。
だとしたら、完全に油断が招いた失態だ。
「ちょ、ちょっと待てって」
「待たない!…って、うわ、こんなところまで」
振り上げた手の甲の判子跡に、今はじめて気づいたようだった。
「ぎゃー!このインク落ちねえんだぞー!?」
慌ててこするが、インクは多少伸びても、綴りは消えない。
「同じの、顔にも押しといたから」
「な、何ィー!?」
慌てて頬や額をこする。もちろんこちらも消えはしない。
「クックック、俺の勝ちだな!」
「てめえ、マジ何するんだよっ!」
「いいじゃねえか、兄貴好きだろ」
「好きだけどさーっ!…ああもうっ」
ドサクサ紛れに告白し、ふと気づいたように机の上を見る。
そして手を伸ばし、何かを掴み、そしてにやりと、セッツァーの方を見て笑った。
「ん?何だ?」
「お前も同じ目に合わせてやるー!」
「うお、ちょっ」
制止の声も聞かず、判子は無常にも額の真ん中に振り下ろされた。
ぺたん、という軽い音と詰めたい感触。
そのインクの落ちなさなら、自分もさっき試している。
「あぁ…あ…」
当分は残るだろう。そしてそれは同時に、当分笑い者とされることも示している。
隠すためにはバンダナを巻くか?だがそんなものをつけたら、あのドロボウとかぶってしまう!
ファッションを個性と考え大事にするセッツァーにとって、この攻撃はこぶしの一撃よりも答えたのであった。
「へへん!これでお前も兄貴の物だからなー…って間違えた!?」
「何を間違ったんだよ…」
もう何かを答えるのも面倒になってセッツァーが聞く。
「この判子、兄貴のじゃなくて俺の名前だ!」
「どっちでもいいだろそんなの…」
「良かねーよ!」
マッシュが余りにもムキになって否定するので、セッツァーは目を開ける。
「確かに、エドガーの部屋にお前の判子があるってのは妙な話だけどよ…」
「俺はそんな話してるんじゃない!」
一言で切り捨てられた。
「だって、お前のデコに、俺の名前の判子押しちゃったんだぜ!?」
「だから何だよ」
「だから、俺、お前なんて要らないし!!」
一瞬、セッツァーは言葉を失う。
こいつは…マッシュは今何と言っている?
名前を書いたら、書いた人のもの。
自分の物には名前を書きましょう。
「…ガキかてめえは」
「うわー…俺こんな奴要らねえよー…」
セッツァーが呟く横で、マッシュは本気で落ち込んでいる。
そんな彼の姿を見て、セッツァーは。
「…ふむ」
面白いことを考え付いた表情で、ゆっくりと起き上がった。
こんなことをされたのだ。…反撃くらいは許されるはずだもの。
胸に手を当て深々と一礼して、一言。
「それではご主人様。何なりとお申し付けくださいませ」
出来得る限り一番の、とびっきり爽やかで好青年の笑顔を浮かべてみせる。
マッシュは一瞬で飛びずさった。
「キモい!!」
「キモいとは?気持ちイイことをお望み、ということでしょうか?」
「うわ、マ、マジでキモい!近づくな!触るなー!!」
「はっはっは、何と言っても俺は貴方に記名されちゃいましたからね」
「うわああっ!」
言いつつ擦り寄ってくるセッツァーから、マッシュは必死に逃げる。
もう、寝ている間にいたずらされた怒りすら消えてしまったようだ。
「大丈夫、俺は満更でもねえぜ?お前が相手でも」
じりじりと壁に追い詰め、その顔の横にドンと音を立てて手を突く。
「俺が嫌だ!!」
「いや、本当はエドガー狙ってたんだけどさ」
「お前なんかに兄貴はやらねえ!」
「うん、だからお前を代わりに」
「嫌だー!!」
立ちふさがるセッツァーに体当たりを一発、マッシュは部屋を飛び出した。
「うお、外行くかあの顔で…?」
一瞬呆然と呟いたセッツァーは、しかし、にやりと笑った。
「まあいいか、こうなったらとことん遊んでやる…!」
呟き、彼も駆け出した。
図らずも額に記されてしまった、彼の所有者を追うために。

そんなヤマもオチもイミもない追いかけっこは、部屋の主が帰ってくるまで城中を舞台に続けられた。
部屋の主は当然、自分の手持ちのインクを落とすための洗料くらい持っていたので、
セッツァーの手に入れた『王の弟の所有物』という権利は、ほんの数刻で消えてしまったのだった。



xxx
セツ*マ。セツマと言い張ってみるテスト。
見かけたことがなかったので自家発電。
…なんだこれ!!
いや、見かけないはずだなあと自分で納得しました。ほっとけ。

とりあえずオイラ的には、セツ>ロク>=マ>=エドで、手を出せない位置にカイエンさんとガウがいます。
セッツァー最強伝説。
何の話かって?ほっとけ。

何かノリが伝勇伝のようになってしまった…
執務室の攻防って。インクって。
…フェリスポジションがいないなぁ(そこは問題ではない

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